どうしてこんなに長くなるんかなぁ…。まぁでもこの回は短い方かしらね。あと…3か4かで終わりますから。
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「ああ、明日は休みだから迎えに行くよ。…分かってる。早めに行くから。」
プツッ
通話を切ってもまだ 頬は緩んでいた。
電話の相手が伊吹だと俺は表情も声も違うらしい。その証拠に
「明日からだっけ、伊吹の絵が展示されんの。」
「ああ。」
相手は誰だとも言っていないのに 拓斗にはバレていた。
「アイツには驚かされてばかりだよ。」
黒狐の奥のテーブルで相変わらずパソコンを叩いているコイツ
「どうだ。暗号は解読できそうか。」
ガタッ
久しぶりに隣に腰を下ろし 画面を覗き込む。
「暗号?あぁ三つの絵画のアレか。あんなのもうとっくに解読したし。」
「え?」
聞き直した俺に 拓斗はチラッと視線を向け
「ある場所を示していた。今日、宙と健至がその場所に行ってる。もうすぐ帰ってくんじゃねーの。」
「は…。」
そうあっけなく応えられ…
「…いつの間に?」
「柳瀬が途方に暮れてる間に。」
皆が このテーブルを囲んでよく集まっていたことは知っていた。
だがその様子を目にしても輪には入ろうとせず…***に繋がる情報を避ける事でアイツへのやりきれない想いを絶とうとする
そんなろくでなしのリーダーだ 俺を他所に拓斗達はサッサと事を進めていた。
「ここまではオレらがやってやるから。最終的なとこはお前が動けよ。」
「っ…」
拓斗と目を合わせた時
ガララ
「タッダイマ~。あ、リキくんっ。」
「疲れた…お、流輝、久しぶりっ。」
「お前ら…」
宙と健至がどこか清々しい笑顔で店に入ってくる。
「おかえりおかえりぃ。どうだった?」
と同時にボスがカウンターから駆け寄って来た。
「まぁ田舎だったよぉ~。」
・・・・
暗号はある場所を示していた。そこはこの都会から離れた山里深くの町
「避暑地だよ。別荘だったんじゃないかな。なんかおとぎ話に出てくるような 鱗屋根の古い洋館でさ。」
「小鳥のさえずりに耳を傾けながら絵を描くダビンチがが想像できた。自然いっぱいのなか、時間も気にせずに。」
宙と健至は車を走らせ暗号場所へと向かう。何度も道に迷いながらも辿り着いた洋館は古いながらもどこか新鮮で趣のある建物だったらしい。
「一応ノックはしたんだ。だけど返事無し。誰も住んでないにしては庭の手入れが行き届いてたから 近所の人に聞いてみたんだ。」
近所っていっても徒歩15分かかったけど。
宙はそう付け加えグラスに注がれたビールを手に取る。
「半年に一度くらい庭師が手入れに来てるって。持ち主は分からないって。」
「なるほど。」
ボスは頷き俺達を見渡す。そして
「ま、そこに『椿姫肖像画』があるんだろ。そこに曾孫を連れて行って…俺達のミッションは終了だな。」
そう言い 宙と健至を労い…。
「…。」
だけど俺はその最後のミッションこそが最もやり遂げる事が難しいと感じる。
なぜなら
「柳瀬。それはお前の担当だかんな。」
「…ハァ…。」
一斉に向けられる視線
俺が***をその場所に…?
「その前に~、サボってないで、たっくん、曾孫の居場所を 早く見つけて!」
「やってるっつー!」
「…。」
俺に気を遣って皆わざと賑やかす。その中心に居ながらも
***が俺に会うわけねぇだろ それこそ姿を見れば逃げ出すんじゃねぇのか…
そんな事を思っていた。…だが実際顔を見れば俺こそ隠れるかもしれない
「…ハァ…。」
…合わせる顔なんてない。
・・・・
「お兄ちゃん、早く早く!」
「伊吹、走るな。」
翌日 柔らかい光の中 美術コンクール入賞作が展示される博物館に伊吹、菊乃と向かう。
…何ヶ月ぶりだろう この博物館の敷地に足を踏み入れたのは。
「…。」
展示される場所は 事もあろうに***の勤めていたあの博物館
すげぇ久しぶりな気がする…。
入り口が近くなるにつれ ***の面影を探している自分に気づいていた。
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