サンタマリア:25 (怪盗X:Long:柳瀬流輝) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

次かな…うむ、次が★だな…。

 

before

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「ちょっと流輝さんっ傘は?!」

 

「差してたよ。けど風が強くてな、横殴りの…って、お~い。」

 

バタバタッ!!

 

「拭いて拭いて!風邪引いちゃう!!」

 

「サンキュ。大げさだな、ちょっと濡れただけ…」

 

「お風呂入って!とりあえずお風呂!!」

 

「あとで良いって。それより…」

 

「掛けておくからスーツ脱いで!風邪引いちゃうから早く!!」

 

「痛っ!そんなに引っ張るな…おいおい、押すなってっ」

 

***の家を訪れたのはもう既に20時近かった。

 

ノー残業デーなんて 誰かがヘマをすれば消えて無くなる。

 

いつもよりは多少早くはあるが…予定では1時間は早く訪ねるつもりだったのに。

 

「温まってね、ごはん用意するからね!」

 

「ハイハイ。」

 

パタン

 

「…ったく。強引な奴だな。」

 

閉じられた洗面所のドアの向こう 慌てふためいていたアイツにクスッと笑う。

 

「一浴びするか…。」

 

久しぶりに訪ねた恋人の部屋 道中の嵐がまるで嘘のような温かいオアシス。

 

・・・・

 

チャポ…

 

「ふぅ…」

 

湯船に浸かりながらここ何日かの忙しない日々が脳内を駆け巡っていた。

 

それは仕事…も、だが 数週間後に迫ったミッションのシミュレーションの為。

 

拓斗も…宙も健至も今までの中で一番熱が上がっている。それはそうだ、今までとは勝手が違う 次は素人が相手ではないのだから。

 

搬入時だとしも多数の警備が付くだろう。それに警察の目も光っている

 

作戦変更を何度行ったか 何パターンのルートを頭に入れているか

 

『時間作って集まろう。何度も確認しておかないと不安だよ。』

 

宙は昨夜もそう言って俺達の都合を伺う。だが俺は変に気張ってばかりでは逆にミスを犯すと

 

『しばらく日常に戻ろう。息抜きも大事だぞ。』

 

そう言い…流石に疲れていた。心身共に。

 

キュッ

 

「ふぅ~…。」

 

シャワーを浴び終えタオルで身体を拭こうとした時

 

「…。」

 

雨とは違う温かい飛沫と いつもとは違う身体を纏う香りに随分と心落ち着いている自分に気づく。

 

それは肌から臭覚から…***を思い起こさせる優しさと柔らかさのせいか

 

「俺も大概だな…」

 

髪をタオルで拭きながら鏡に映る自分の随分と緊張解れた表情に思わず笑った。そして

 

「…ッチ…。」

 

自分の背を映し右肩のアザに触れる。まだ消えない『鈴蘭』を奪った際に負った傷

 

痛みは随分と軽減した。だがまだ残る紅くも蒼い痕

 

ったく…あの大男 何で殴ったんだ?大木かパイプか 頭を殴られていたら死んでただろ…。

 

あれから多忙な日々を…確かにそうだが、全く時間が取れなかったのかと問われれば決してそうではなかった。だが***に会う事は躊躇ってしまう。

 

触れずには要られない***の身体 それなのにあまりにも痛む右肩

 

病院に行くわけにもいかず 骨に異常は無いかと看護師の免許を持っている菊乃をこっそりと訪ねる。

 

『流輝坊ちゃま、喧嘩はいけませんよ。』

 

深くは聞いて来ない菊乃に甘え 実家を訪ねる日々…あの日、まさか***が伊吹を訪ねるタイミングに合うなんて。

 

玄関先でバッタリと顔を合わせた時 変に焦った俺に***は

 

ガチャ

 

「浴がったぞ。あのな、恋人が泊まりに来たんだぞ、普通は『食事にする?お風呂にする?それとも私?』って…」

 

「食事の用意が出来ました!」

 

「あ、そう。」

 

気づいてはいないと思うが…とにかく早くこの傷跡が消えれば良い…。

 

「へぇ…まさか鍋とはな。」

 

部屋に顔を出すと腹の虫が鳴きそうになるどこか温かい空気が俺を出迎える。

 

「今日は少し気温が低かったから。それに流輝さん生活が不規則でしょ?しっかり栄養取って貰おうと思って。」

 

「手羽先と巾着のみぞれ鍋か。」

 

「です。どうぞ、座って。」

 

「ああ。」

 

タオルを首にかけゆっくりと腰を下ろす俺とは違い ***は湯気の向こうセカセカと動いていた。

 

「巾着もお前が作ったのか?」

 

「そうだよ。あれ、グラス…」

 

「中身なに?」

 

「せせりと水菜のペアとエビつくねと…グラスが無い…あ、冷やしたんだった…っ」

 

「クック…」

 

一人焦って…なかなか俺にその顔を見せなかったがその頬が紅く染まっているのは想像が付いた。

 

何を緊張しているのか…そうは思ったがあまりにもその不自然な程の動きが愛らしい。そしてこの空気感が

 

「良いな、こういうの…。」

 

温かい…。

 

「なに?何か言った?」

 

「いや…食って良い?」

 

「どうぞ召し上がれ。」

 

コイツと居ると心が温かくなる。

 

「いただきます。」

 

初めて会ったその日からそうだった…今更のように思い出した。

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

「今更だけど、部屋着持ってきたんだ…?明日のシャツも…」

 

「ああ。その都度買うの面倒だから置いておいてくれ。」

 

「…。」

 

「どうした?」

 

「…また来るんだなって思って。」

 

「なんだそれ。迷惑なのかよ。」

 

「そんなわけ…無い。」

 

食事の最中 色んな話をした。ほとんどが今夜の食事について、だった。

 

流輝さんは自炊出来る人だから 出汁がどうとか副菜の味がどうとか盛り付け方どうとか…色々言われたけれど

 

『美味かった。』

 

『ホント…?』

 

『ああ。出来るなお前。』

 

美味しいと言ってくれた。おかわりもしてくれた。また作ってと言ってくれた。

 

私ったらなんだかドキドキしてしまって…しばらくまともに彼と顔を合わせる事が出来なくて。

 

食事の後、会えなかった日々の話をゆっくりとまったりとする。そうしたらすぐに夜は更け 嵐は

 

「…もう寝るの?」

 

「風呂のあとは飯。飯のあとは…」

 

嵐は…どこへ行ったんだろう。

 

「『私』だろ?」

 

・・・・

 

バフッ…

 

「…。」

 

見上げるものは見慣れた天井ではない。愛おしい彼の顔

 

一度唇を重ねられたら止まらなくて 気づいたらベッドに静かに倒されて

 

「脱ごうか。」

 

「え…」

 

「見せろよ。お前を。」

 

バサッ…バサッ…

 

手首を持たれ万歳をされた。服も…下着も身につけていたもの全部脱がされた。

 

「…私だけ脱ぐの。」

 

「俺はあとで。」

 

「なにそれ…」

 

「とりあえずお前の身体を鑑賞させろよ。男は視覚から興奮を得るもんだからな。」

 

「待っ…」

 

ギシッ

 

手首をシーツに押しつけられて。

 

「…そんなに見る?」

 

「そりゃぁな。」

 

薄暗いなか 彼の瞳が私の身体を這うように動く。それだけでもう

 

「…私に…流輝さんを虜にさせる魅力なんて無いよ。」

 

私は…もう…。

 

「クック…まだソレ言うのかよ。」

 

「流輝さ…」

 

「そろそろおしゃべりは止めろ。俺に集中…」

 

「好きだよ。」

 

・・・・

 

ザー…

 

どこかに行ったわけではなかった嵐

 

お互いが言葉を発さず ただ見つめ合う事で雨はずっと降り続いていたと知った。

 

「…っ…」

 

私、何言って…。

 

思わず出た心の声 ハッとする私に流輝さんは

 

「…フン…」

 

静かに微笑んだ。そして私の緊張を解すかのように髪を撫で頬を撫で

 

「…俺も…」

 

私の首筋に顔を埋め熱い息を吐く。そして

 

「お前が好きだよ。」

 

「ん…っ」

 

私の唇を優しく噛みながら 二つの膨らみを手の平で包んだ。

 

 

 

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