Continue:1 (吉祥寺デイズ:Long:湯野剛史) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
吉恋一護 誓い大和 怪盗流輝 スイルム英介 お気に入り
日々の出来事など。

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・過去記事 引っ越し分


・タケちゃんの恋 相手は吉子ではなくオリキャラです。


・途中★しるし(大人表現有)を入れ込みますが再三に渡って削除されているのでその場面は短編としてUP(消されても話は続くようにする為)


・この話はある話にContinueしております。


・Longにしていますが10話程度の予定


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「黙れよ、ちょっと。」


今が何時でここが病院だって事が分かっているのだろうか。周りが頬をひきつらせるほど賑やかしていた。


「うるさい!」


たかだか捻挫だっていうのに大げさにデカい声を出し暴れるばあちゃんに何を言っても聞こえはしない。


「イタタタァ~!!看護士さん優しいしてぇや!!」


ばあちゃんは銭湯の洗い場で派手に尻持ちを付いた。


足が折れた折れたって大騒ぎするから慌てて車を走らせ街中の救急外来まで来たわけだが、


「アワワ…」


「コラ剛史!欠伸してる場合かいな!」


夜の23時…俺はもう眠くて堪らない。


「喉乾いた、なんか買うて来て。」


真っ白い包帯を右足に巻かれながら俺を顎で使う。


「はぁ~…」


めんどくさいと舌打ちをしたけれど


「…。」


包帯に負けず劣らない程 真っ白でシワシワな足を目にしたら


口はうるさくても…少なからず俺より元気でも ばあちゃんは間違えなく年寄りだ。


「分かった。」


どういうわけか見て見ぬふりをしたくなって 逃げ出すように診察室を出た。


パタン…


・・・・


桜舞う春。


まだ肌寒くて少しだけ身震いする23時 満月のせいでやけに明るい夜。


ガラン…


救急外来入り口の自販機でコーラと…そして俺のコーヒーを買う。


取り出した時 足元に随分と桜の花びらが舞い落ちているのに気付いた。


振り返れば背の高い桜の木


ハラハラと舞い落ちる桜の花びらの中 一服したくて自販機そばのベンチに腰掛ける。


カチ


「…ふぅ…。」


ばあちゃんが包帯を巻いて貰っているだろう部屋から明かりが漏れ 程良い照明になり辺りを照らす


煙草の煙を追えば 満開の桜 星さえも消してしまうくらいの満月


「…。」


絶景の春の夜だ。


覆いかぶさるほどの桃色の影に昼間の花見の様子が思い出された。


一護のやつ桜の樹の下 寝ながら笑ってたっけ…。


どんな夢を見ていたのかと茶化してもただの夢だと話さない


桜の花びらに手を伸ばし…寂しそうな表情を浮かべるあいつにそれ以上問い詰めはしなかったけれど


「…。」


たぶん、アイツの夢…。


届かない想い 癒えない傷


一護が心配だった。だけど


「ふぅ…」


あそこまで誰かを好きになるとか…羨ましくもある。


・・・・


ガキの頃からあまり感情が顔に出ない俺は 何を考えているのか何をしているのかあいつらにとっちゃある意味謎の男らしい。


出さないわけじゃない 出せなくなった。それはたぶん性格が原因で。


変に強情 秘かにプライドが高い …幼なじみのなかで一番の負けず嫌いだろうと思う。


勉強もスポーツもコツコツ努力しているところなんて見せたくないし 知られたくない。


他人の事はすっげぇ気になって聞きまくるのに自分の事は貝の如く口を噤む。


そんな俺だから恋人と呼ぶ存在を幼なじみに紹介したこともない。


いくつもの出会いと別れを繰り返しても誰にも…それはたぶん


「…。」


あいつらに話をするような付き合いじゃなかったからだと思う。


・・・・


大して吸っていない煙草を山盛りになっている灰皿に押し付けた。


「はぁ…。」


なんでため息…俯き 腰を上げようとした時


「湯野さん?」


自動販売機横から女に声を掛けられた。



next

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