Liar:35 (吉祥寺デイズ:Long:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
吉恋一護 誓い大和 怪盗流輝 スイルム英介 お気に入り
日々の出来事など。

before

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「は?沙希?」


店に入った途端立ち止まった一護の背越しに ひょこっと顔を出す幼なじみトリオ


「皆さんお久しぶりです。」


「…おっとぉ~…」


彼女の変貌ぶりに驚いた…剛史と理人そしてオレは幼なじみトリオ。


・・・・


「え、沙希ちゃん??」


理人は目を丸くし彼女の頭のてっぺんからつま先まで目を何往復もさせた。


「びっくりした、すっごい綺麗になったね!」


そして真ん丸の目をキラキラとさせオレ達に同意を求めたりする。いやいやそんな事よりも


「大晦日以来ですね。」


頬を赤らめオレ達の顔を見渡す沙希…まさか再会してしまうとは。


・・・・


『そういや沙希ちゃんと連絡取ってんの?』


いつだったか…オレは一護に聞いた事がある。その時一護は


『全然。』


そう言いながら***にせっせとメールを打っていた。


もう一護の中では終わった恋愛ごっこだったから オレ達の中でも当然消えてしまった夏の思い出


「…ホント久しぶりだな。」


一護の横顔は随分と驚きに満ちている。


だからマジで二人は切れていたんだって オレ達同様大晦日以来の再会なんだと実感する。


「年上の彼氏の影響?」


席に案内され 腰を降ろしたと同時に沙希に声を掛けたのは剛史だった。


「え?」


「大晦日に一緒に来ていた無精ヒゲの男。」


こいつは余計な事をしっかり覚えているなと常々思う。


「あ~確かに。彼氏が年上だから?可愛いっていうか綺麗になったよねぇ。」


相変わらずニコニコと沙希の顔を覗き込む理人に 沙希はあぁ と微笑みながら頷き


「あの時の彼ではないですけど…年上の彼の影響は受けてますね。」


「おぉ~…。」


ノロケまでかましてしまう程の余裕を持ち合せた彼女に オレ達驚いたわけで。


「皆さんアイスコーヒーですね。」


ニコッと微笑み厨房に戻る背を見ながら…いやいや どうしたの


「…随分と大人になったなぁ。」


なんて呟くオレは年寄りみたいだな。


・・・・


髪型のせい…化粧のせい…理由はあるだろうけれど たった半年だとしてもいちいち女は雰囲気を変える。


それは***が一年ぶりに吉祥寺に戻って来た時にも感じた事で。


新しい環境に刺激 もちろん自分の努力 色んな要素が女性を良くも悪くも変えてしまうんだろう。


沙希に関して言えば年上の彼氏の影響が強いらしい。いやいや綺麗になった。


「へぇ~。遠距離してんだ?」


だからってコーヒーを持って来た沙希に質問攻めのオレ達もどうかと思うけど。


「はい。遠距離っていうか…大した距離じゃないけれど夏まで寂しく過ごします。」


泣き真似までする彼女に いやいや絡みやすくなったなとオレ達笑うんだけど


「…一護さんは…」


「え?」


一護は一言も沙希に話掛けてはいなかった。


ふいに自分に振られてハッとしたように彼女を見つめ返す。


沙希は何を聞くのかと思えば


「遠距離の彼女とは…うまくいってますか?」


恋愛ごっこに終止符を打たせた存在 ***の事。


・・・・


「…ああ。お蔭さまで。」


「…そうですか。」


…なんとなく なんとなくだけどオレ達に接する感じと一護への接し方は違う気がした。


オレ達と同じように微笑んだとしても なんだろな オレの気のせい?この二人の恋愛ごっこを知っているから特別な空気を感じるのか。


「じゃごゆっくり。」


「はい、どうも。」


目をすぐに逸らしたとしても何か感じる作られた空気…


「いっちゃん、もしかしてドキッとかしたんじゃない?」


その違和感を感じたのはオレだけじゃなかった。


理人は冗談のつもりで一護に問い掛けたんだろうけど


「綺麗になったもんねぇ沙希ちゃん。」


「…ああ。ビックリした。」


えぇ??


まさかのマジな返事にオレ達驚いたりして。


「あららら…」


「…んだよ。…しかし暑くね?この店。」


一護がパタパタと手で顔を仰ぎながら唇を舐める…なんで今、気まずい時のクセが出るの。


「全然エアコン効いてるけど。」


「俺、全然暑いんだけど。」


早々にアイスコーヒーを飲み干した一護の頬は少し赤い。


・・・・


一護にとって沙希との再会はオレ達と同じように新鮮で


そしてある意味まったく新しい出会いのように感じただろう。


「…暑ぅ~…。」


「全然暑くないけど。」


だけどひと夏の思い出は心に残っていた。



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