僕は衝撃の瞬間を見たことがある。

暑い、夏の夜の事だった。

クーラーが嫌いだった僕は、網戸だけ閉めて窓を全開にして寝ることにした。たぐいまれなるエコ意識である。

ふと、夜中に目が覚めた。なんとなく窓を眺めるとそこには一匹の蚊がいた。

網戸に張り付いて、中に入りたそうにしている蚊を見ながら、僕は再び眠りにつこうとした。

その時である。

蚊は思いきったようにその細い足をたたみ、2ミリ四方あるかないかという網戸の格子へ、ニューッと頭を突っ込んだ。
そしてそのままスルリと通り抜け、奴はいとも簡単に我が家への侵入を果たしたのである。

網戸を閉めていれば蚊は入ってこないという僕の既成概念はぶっこわされた。ただの過大評価だったのだ。

その後ぼくは窓をしめて寝るようになり、クーラー派に鞍替えした。

このような事情によって、地球は温暖化の一途をたどっている。みんなごめんね。僕のせいで。