080210_1646~01.jpg
読みました。メフィスト賞を受賞した世紀の珍作ということで、以前から自分の中で気になっていた本。
それもあって、読む前までは『ドグラマグラ』的な難解かつ理解不能な内容なんだろうと勝手に想像して、かなり気合いを入れて読書に望みました。(ちなみにドグラマグラは理解できず本棚に置いたまま。いつかは絶対…)

理解しようとゆっくり読み始めたのですが、3分の1を読んだところで気付きました。

「真剣に読んじゃダメだこれ」

私は推理小説を読むとき、犯人やトリックを想像せずに流れに身をまかせて読み進むタイプなのですが、身を任せようにもトリックが分かってしまう。「こんな感じかなーだとしたら下らんけど」レベルの想像がバチーン的中してしまう。かといって、読むのをやめるほど下らなくはない。気付くとページをめくるペースが尋常じゃないほどの速度に。

作者に引きずり込まれたのか、私が斜め読みすることを選んだのか。その辺りがあやふやなまま、あっという間に読みきると、凄く下らなかったのに面白かったなーという読後感がのこりました。

この感覚は、レポートや企画書を深夜テンションで書き上げたあとの感覚ににています。なんとなーくゾーンに突入して、気付くと怒濤の勢いで筆が進んでいるあの感じ。

作者もこの本をそんなテンションで書き上げたのだと思う。そして、そのテンションを読者に伝染させることができる、という部分こそが蘇部健一の才能なんじゃないか?

この本を酷評している評論家って、ガチで読むしか能のないバカなんだろうなぁ・・・

読み終わった後、なんか気持ちいい。爽やかに斜め読みできる本でした!