こんばんは、シタールです。
映画「メッセージ」について書きます(ネタバレ&すごく長いです!)。

この映画を観てから、しばらく暇さえあればずっと考えていました。
後で読んだテッド・チャンの原作小説もとても良くて、サウンドトラックもパンフレットもとても良くて。
感想を書きたいなと思いつつ、感銘を受けた部分が激しく結末に関わるので躊躇っていました。
どう頑張ってもそこに触れずに書く事はできないところ。


人それぞれだとは思いますが、私はできるだけ前評判や情報を入れずに映画を観たいタイプ。
予告編くらいでもう充分だと思っているのです。
うっかりネタバレの記事とかブログを読んでしまうととても後悔します。

劇場公開はほとんど終了したけれど、DVDはまだ発売されていません。
でも書きたい。
カードの世界ととてもつながっている話なので、まだ温かい間に思い切って書きます。

映画をご覧になった方、原作を読まれた方だけお読み下さいね。
ストーリーを知っていても映像と音のすごい体験ではありますが、やっぱり知らない方がドキドキしますからね。


ここから先、激しくネタバレです!!!!













私の好きな宇宙人が出てくる映画です♪
その宇宙人が最高に理想の姿形、蛸型エイリアンなのです。
しかもとても知的で穏やかな人達で、その姿や声からは孤高さを感じます。大きな姿には畏れの感覚も持ちました。

その宇宙人が地球のあちこちにやってきて留まり、それぞれの国の人達がコミュニケーションを図ろうとします。
発声器官が異なるため、音声言語を学ぶのはとても難しいことが分かります。
そこで言語学者である主人公ルイーズは、彼らの書き文字を学ぶのですが、習得するうちに思考方法までも変化して行きます。

言語が違えば考え方が違う。
結論を最初に言う英語と、理由や気持ちを述べてから最後に結論を言う(言わないこともある)日本語。
その文法に則って考えたり話したりするので、思考方法に癖みたいなのができるのは納得です。

この宇宙人は足が8本なのでヘクサポッドと呼ばれていて、身体には私達のように正面や背面はありません。
どの方向も見えているし、どこからでも動けます。
進行方向という概念がないので、時制の概念もないのだそうです。

過去形も現在形も未来形もない。
全て同時に視えている世界。
書き文字は水中に墨を吹き付けたように(もしくはたばこの煙で輪を作るように)、大きなサークルを描きます。
その中に結論や未来に相当する部分はあるけれども、始めから結論までを全て含んで完成したものとして文を書き始めます。

文字が現れ消えるまでが全て美しい
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主人公はフラッシュバックに悩まされるようになり、次第にそれはこれから起きることなのだと理解して行くのです。
まだ結婚していない夫、まだ生まれていない子供の成長と死。

先にあるのは悲嘆だと分かっているのに、その人生を選ぶのか?と感想を書かれていた方がいました。
そう、そこ。
彼女は選ぶのですね。
だって、もうそうなるようになっているから。
そして結末ではなくて過程の中に人生はあるから。

別れるなら出逢わなければ良かったとは私は思いません。
生き物は必ず死ぬのに生まれなくてはならない。
それと似ています。


カードリーディングをしていると、過去と未来や運命と宿命について考えることがあります。

質問に対してはっきりした結果を知りたい時は、タロットカードや九星気学などが向いている手法だと思います。
ある定まった状況に向けて進んでいることを教え、覚悟を促し、励ましてくれます。

それに比べるとオラクルカードは結果ではなく、道中の歩み方にフォーカスしているように思えます。
心の底で求めている幸せに気づかせて、より良い選択を助けてくれるでしょう。

選択によって結果はある程度変わるし、決まったものとは捉えていないのです。
それでもたまに、「随分前に引いたカードはこのことでは?」と思うような事があります。
その日を示すカード、少し先の状態のカード位まではイメージがしやすいです。けれどその中にずっと先の事までもちらりと暗示されていたりします。

カードに出て来るものは、無意識下で分かっていることの反映と言われています。
それならずっと先に来るものを、ルイーズと同じように私達も知っているのかもしれませんね。

ある人の生きる環境や起きる事象があらかじめ決まってるのか、選択によって選び取って行けるのか、知る手立てはありません。
どちらにせよ、どう受け止めてどう生きるか、心の内側の在り方は自分次第なのだということです。

戸惑いながらもどんどん状況に突っ込んで行くルイーズ。
怖さと充実感とのバランスに惹かれます。
命の危険を顧みずヘルメットを外して対話しようとする辺りではぞくぞくしました。

原作と映画は違った所もあって、どちらもそれぞれに良さがあります。
このイメージするのが難しい物語をよく視覚化して、未知の言語を構築したなと感心してしまいます。
先に読んだ方でも「宇宙船の内部やヘクサポッドの姿はこうだったのか!」と素直に思えるのではないでしょうか。

原作小説のタイトルは「あなたの物語」で、映画の原題は「ARRIVAL」です。日本では「メッセージ」ですね。
私は「ARRIVAL」が好き。来るべきものが到着する、というイメージがしっくりきます。

重層的な物語なので、大事な所はもっと他にもあるかもしれないけれど、私のぐっと来た所はここでした。

カードと取り組む上での私の中の大きなテーマとリンクする作品です。
これから先に私の考え方も変わるかもしれませんが、その時はまたこの映画で自分の感覚を確認してみたいです。

秋なったら塚口サンサン劇場で上映されるので、もう一度良い音で観ようと思います。


長々と読んで下さってありがとうございました。

映画とカードのお話はまた書きたいです。
先日観たゾンビの顔色が緑だったこともお話ししたいけど、それはまたいつか。