【ロジカルシンキングとラテラルシンキング】 | まもちゃんのブログ

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5月31日より万能鑑定士Qという映画が始まります。この映画の主人公は極めて知能の高いロジカルシンキングユーザーの女性のミステリー映画です。最近のミステリーは殺人が起きないという点において変ってきています。確かに、殺人が起きなくても、ミステリーというジャンルは成立します。
昨年は剛力彩芽主演のビブリア古書店の事件簿というドラマがありました。このドラマもミステリーですが、殺人が起こりません。このミステリーは古書を巡る謎を描いていました。

万能鑑定士Qの主人公凛田莉子は高い推理力を有します。推理というより全てを見通す凄まじい知能を持っています。

彼女はロジカルシンキングユーザーです。ロジカルシンキングとは論理的思考の事ですが、又の名は垂直思考です。垂直思考は学問でもビジネスでも思考の基本です。ほとんどの学者、知識人はロジカルシンキングを行います。特に詰め込み世代の日本人はほとんどロジカルシンキングユーザーです。何故なら、1967年までロジカルシンキング以外の思考法が無かったからです。

1967年エドワード・デ・ボノにより新しい論理的思考や分析的思考にラテラルシンキング(水平思考)を提唱しました。

垂直思考と水平思考はどなたでも聞いた事があるかと思われます。この2者の特徴は垂直思考が極めて基本に忠実な思考法です。既成の理論や概念から深く考えていく方法。良く穴堀りに例えられます。
小さな穴でも、どんどん深く穴を掘って行く事で、問題を解決したり、新しい技術、研究結果を得ます。これに対して水平思考とは既成の理論や概念にとらわれずアイデアを生み出す方法で、多様な視点から物事を見ることで直感的な発想を生み出す方法です。

垂直思考は一つの穴から掘り始める方法ですが、水平思考は新しい穴から掘り始める方法です。

具体的な人物としてはAPPLEのスティーブ.ジョブス、アインシュタインです。

APPLEのスティーブ・ジョブスはiphoneを開発するにあたって命じた事はボタンがひとつしか無い携帯をつくれという物でした。決してユーザーが使いやすい携帯を作ろうなどとしてはいなかったのです。むしろ、そういうユーザー側の使いやすさにこだわった携帯は日本のメーカーやキャリヤが努力してきました。世界で最初に携帯をインターネットにつないだのはDOCOMOです。音楽を聞ける様にしたのはauです。お財布ケータイはSONYの技術です。

ステーブ・ジョブスは製品の美しさにしか興味の無い人でした。彼は技術者というより芸術家です。

iphoneはサイドにロックボタン、マナーボタンがありますが、正面から見るとホームボタン1つしかありません。そうです。APPLEの技術者はステーブ・ジョブスの言う通り、ボタンが一つしか無い携帯を作ったのです。iphoneはタッチパネルにより高いユーザーインターフェィスを実現しました。しかし、iphoneはユーザーフレンドリーを考えて作られた訳ではありません。あくまで、美しい携帯として作成されたのです。

このストーリーは皆さんお気づきかと思いますが、ラテラルシンキング(水平思考)による新しい携帯の創造だったのです。

iphoneの誕生は従来のスマートフォンやフューチャーフォンを陳腐化させてしまいました。この創造が可能だったのはAppleが携帯という工業製品を作ろうとしたのでは無く、芸術作品を作ろうとした為です。又、スティーブ・ジョブスは既存の概念というものをほとんど持たない人間だった様です。これはいい意味でも、悪い意味でもです。彼は決して善人では無く、かなり悪辣な人間だった様です。彼には常識がなかったのです。いい意味でも、悪い意味でも。彼が亡くなったのは膵臓ガンですが、実は発見が早く、手術すれば助かったのですが、彼は西洋医学を信じておらず、東洋医学で治そうとしました。彼は数百年の歴史を持つ西洋医学を信じるという概念を持っていなかったのです。我々には考えられない事ですが、事実であり、彼らしいエピソードです。

アインシュタインもラテラルシンキングユーザーです。彼は特殊相対性理論で有名です。彼の特殊相対性理論により当時の大きな物理学の壁だったニュートン力学の壁を補う事ができたのです。

当時天文学が進み、天体の軌道が詳しく判るにつれて、大きな謎が生まれました。それはニュートン力学では説明のつかない軌道を取る事があったのです。当時、多くの物理学者はこの謎に挑みますが、中々解決しませんでした。そして、多くの物理学者に、もしかしてニュートン力学は間違いなのか?という考えまで出てきたのです。

これを解決したのがアインシュタインです。彼は「全ての物理法則は数式で解明できる」と信じて特殊相対性理論に辿りつきます。彼がこの論文を出した頃、彼はスイスの特許局のしがない職員でした。しかも、特殊相対性理論は実は彼の大学の博士号取得の論文だったのですが、大学はこれを却下したそうです。信じられない話しですが。

アインシュタインの特殊相対性理論は最初は中々受けいれられなかったのですが、徐々に著名な研究者に認められ、物理学の世界を新しい風を吹き込みました。彼は20世紀最大の物理学者であると言われます。又、天才の象徴です。

彼の面白い点は20世紀の2大変革である、この相対性理論と量子力学の内、量子力学においては全く何の成果も残していない点です。

彼が量子力学において成果を残せなかったのは、量子力学は数式で解明できるものでは無かったからです。アインシュタインは一つの数式により全てが説明出来ると信じて量子力学に挑んだのですが、量子力学は統計学によって解決されました。量子力学においては一つの数式では解決出来なかったのです。

アインシュタインの長所と短所がはっきり判るエピソードですが、ラテラルシンキングの長所と短所がはっきり判るエピソードです。

ラテラルシンキングは既存の概念では解明出来ない事を解明する時とても有効な思考法です。しかし、ラテラルシンキングは既成概念以外の視点から考えるため、的外れになる事もありますし、アインシュタインが博士号論文において相対性理論が却下された点から考えて、認められる事が難しいという点でもあります。基本的な思考法はロジカルシンキングです。

最後に日本人にもラテラルシンキングユーザーはいました。任天堂やSONYです。任天堂は有名なラテラルシンキングユーザー一人の為、インスパイアされ、ちいさな花札のメーカーから有名な遊具メーカーになりました。ファミコンやWiiです。

SONYは技術とデザインにこだわるメーカーでした。そのため、昔は賛否両論のある会社で、あのスティーブ・ジョブスもSONYには敬意を持っていた様です。今となっては只の家電メーカーになりましたが、昔はぶっ飛んだメーカーでした。どこかAppleをを連想させます。

私は昔SONYのオーディオを買いましたが、デザインが良く、横430cm、高さ80cmに統一されていました。当時私のオーディオを友達のオーディオファンから批判が相次ぎました。彼ら曰く、「オーディオは音だ」確かにごもっともです。しかし、当時の私は微細な音の差が判る耳を持っていなかぅったのです。私には音より、美しいデザインのオーディオがとても気に入ったのです。そしてアンプ、カセットデッキ、チューナーを高さ8cmに統一する設計がどれほど高い技術が必要か?私はSONYの技術力とデザインのセンスに感銘を受けたのです。おそらく当時のSONY信者は私と同じ考えだったと思います。

最後にラテラルシンキングユーザーは周囲から理解されにくいという点があります。垂直思考しか知らない人にとって、水平思考は只の思いつきにしか思えないのです。又、ラテラルシンキングユーザーは絶対数が少ないのが事実です。ラテラルシンキングユーザーが去ったSONYや任天堂が今どうなっているかを考えればラテラルシンキングのみに頼る事はリスクが大きいのです。

以上