小林秀雄さんが

昭和26年に発表した評論に

「真贋」というものがあります。

骨董好きの小林さんらしい

体験を交えた断固たる語り口調が

この人らしい考えに

色を添えているのですが、

なるほどと思う件がありました。





そもそも彼は、

「ニセ物は減らない」と言います。



ニセ物は減らない。ホン物は減る一方だから、ニセ物は増える一方という勘定になる。需要供給の関係だから仕方がない。
小林秀雄全作品19「真贋」(新潮社) P22



なるほど、嗜好という視点だけでなく

商売という視点から見ても

それはその通りです。

興味深いのは鉄舟好きだとおっしゃる小林さんが、

鉄舟のおそらくニセ物を

つかまされた時のエピソード。



長い事見ていて、ちっともいい気持になって来ないのが不思議であると感じた途端に、全く醜悪な画に見え出した。我慢がならぬ。結論が頭に閃く、あんまり拙い贋作だから引っかかったのだ、もっとよく出来た奴なら何の事はなかったのだ。
~同上書P33



僕は考えました。

何事も完璧にしようとする姿勢は大事ですが、

完璧を意識すればするほど作為が生じます。

何より経験を積み上げるしか道はありません。

(それは人間の抱える矛盾でしょうか)





生む方も受け取る方も結局は

経験を土台にした直観、直感以外に

ホン物になる術はないということです。

勉強になります。



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今日も良い天気ですね。

素敵な一日を。

ありがとうございます。






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