第十話
42歳、さらに新たな挑戦。
環境、健康、農業。そんな言葉が頭から離れなかった。
建築関係の仕事は続いていた。
だが将来には不安があった。
俺は腕に覚えのある職人ではない。
資格を持った技術者でもない。
言ってしまえばただのブローカー。
きれいに言えば建材商社だった。
メーカーと工事業者の間に入り、仕事をまとめるのが役目だ。
もちろん仕事はあった。
だが、ふと思った。
この立場で本当に利益は増えていくのだろうか。
そんなことを考えるようになっていた。
そんな不安を抱えていた当時の俺は、
環境
健康
農業
この三つが、
これからのビジネスのキーポイントになるのではないかと、
おぼろげに思っていた。
その中でも、
最初に興味を持ったのは健康だった。
きっかけは自身の痛風である。
当時の俺は毎年のように、
痛風の激しい発作に苦しんでいた。
なのに、西洋医学を忌み嫌っていた為に、
主治医の言うことも聞かず、
薬も拒否していた。
だから何度も何度も、
毎年同じ時期に痛風発作を繰り返していた。
しかも発作が始まると厄介だった。
運転もできない。
歩くことすらできない。
ひどい時には一か月近く動けないこともあった。
どうしても外せないお客様との約束がある時は、
奥さんに車を運転してもらい、
現場まで連れて行ってもらったことも何度となくある。
今振り返ると、
奥さんにはずいぶん迷惑をかけていたと思う。
そんなある日だった。
当時所属していた奉仕団体の懇親会で、
たまたま隣に座った先輩のKさんに痛風の話をした。
するとKさんは、
「そんなの簡単に治るよ。」
とさらっと言った。
俺は心の中で思った。
そんなわけがあるか。
とは思いつつも、
だいぶ疑わしかったが、
翌日にはKさんの事務所へ飛び込んでいた。
痛みのほうが勝ったのだろう。
紹介されたサプリをあっさり試してみた。
すると少しずつ改善していった。
それには正直驚いた。
Kさんの会社では健康関連事業も行っており、
その中の一つに整体学院があった。
健康産業への興味から、
俺はそこで整体を学ぶことになる。
施術だけではない。
食についても学んだ。
健康についても学んだ。
今まで当たり前だと思っていたことが、
当たり前ではないことを知った。
結婚当初、
「ヤギじゃないんだから野菜は食わせないでください。」
と奥さんに頼んでいた自分が懐かしい。
そして健康への興味はどんどん深くなっていった。
こうしてまた、俺の唐突な行動がひとつ始まった。
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だいふく
