ネットのニューストピックスで面白い記事を見つけましたので、ご紹介します。
私の地元神戸大学の先生の研究発表です。
「『嘘をついてはいけない』としつけられた子供は、しつけられていない子供と
比べると、将来、大卒以上の高学歴になるケースが明らかに多く、
年収も50万円以上高くなる傾向があります」
こう語るのは、神戸大学社会科学系教育研究府の西村和雄特命教授。
西村教授は、ゆとり教育を批判した著書や、教育に関するユニークな
調査発表でも有名だ。
今回、その西村教授のほか3人による共同調査『基本的モラルと社会的成功』が
発表された。調査の結果、8つのうち4つのしつけを受けた人が、
高学歴になる率が高いことが明らかになった。
また年収も、4つのしつけをすべて受けたケースは、ひとつも受けていないケースよりも
80万円も高かったのだ。
その4つのしつけとは「嘘をついてはいけない」「他人に親切にする」「ルールを守る」
「勉強をする」というもの。この調査で興味深いのは、周囲の大人からしつけられた
「記憶」があるかどうかで統計が取られている点。
つまり、これらのしつけを実践、理解できたかが問題ではなく、言われたことを
覚えていることが大事だということだ。
「未就学、小学生くらいの幼少期ならば、簡単なしつけの言葉を繰り返し言い聞かせて
『記憶』させることで、自然とモラルを身に付けさせることができるんです。
それが結果的に、我慢強さや協調性、規則正しい生活習慣や学習習慣に結びつき、
将来的に企業の求める人材に育つのだと考えられます」
それなら少しでも早いうちに、わが子のしつけを……と考えたくなるが、
注意したいのはひとつのしつけに特化しないことだ。偏った考えや、
利己的な性格を持たせないようにするには、前出の4つのしつけをまんべんなく
教えるようにするのが肝心だという。
親の中には「もうそんなしつけやっている」という人も多いはず。
しかし、当たり前すぎて、あえて言っていないということもある。
「言わなくてもわかると思うかもしれませんが、幼い子どもは、
言われないとわかりません。
何度も口にして、記憶させることが大事です。昔はまわりの大人が言ってくれましたが、
今、子供の近くには親しかいません。親が言わなくなれば、誰からも聞かされずに
育ってしまうのですから、お父さんやお母さんの役割は大きくなっているといえます」
私がやっているリリパット・リトル・キンダーという幼稚園型スクールは、
しつけやマナーを大切にするということをポリシーにしています。
最近は幼稚園や保育所で、喧嘩もさせない、問題行動があっても叱らない、
間違っていても注意しない、ということをよく聞きます。
親からの苦情を恐れて、またそれがその子の個性だと大きな勘違いをして、
本来教育者がすべき教育を放棄しているように思えてなりません。
子供達をただ見ているだけなら、学生アルバイトのベビーシッターで十分です。
親や教育者、そして大人の役割は、子ども達に社会で生きていくための知恵や
ルールを教えること。特に幼児期は、それが最重要課題です。
家庭では親がしつけをしなければなりませんが、家庭の中で教えられることは
限られています。
一人っ子ならおもちゃの取り合いもありませんし、なおさらです。
ですから、幼稚園や保育所など集団で過ごす場所が必要なのです。
集団の中で起こる様々な出来事を通じて、今どうしなければならないか、
どうすることが社会のルールなのか、どう解決すればいいのか、
と言うことを子ども達は学んでいくのです。
それには、大人の知恵や的確なアドバイスが不可欠です。
教育者はそのためにいるのだと思います。
子ども達が言うことを聞くかどうかは、それぞれの子供の持っている特性が
違いますから、一概に言えません。
同じことを注意しても一度で理解できて実践できる子もいれば、
50回言ってもできない子もいます。
何度言ってもできない場合は、それがその子の弱点でもあるわけですから、
余計何度でも言い続けなければならないのです。
諦めずに言い続けること。それが成功するしつけの極意です。
しつけたことの結果は、数値や目に見える形では現れませんが、
年収が高くなるかどうかは別としても、社会に受け入れられやすいと
考えると、今回の西村先生の研究のようなものがあれば、
親の励みになるかもしれませんね。