私はこれまでの自分の行動を大いに反省しなければならない。

 

自分で気づいてか気づかずか、完全に必要なバランスを失っていた。新規顧客獲得に夢中になるあまりに、既存顧客の価値をないがしろにしていたのだ。実績は出ていなかったがそれを相場のせいにしていたし、それを指摘しする顧客には怒ってさえいた。しかしそれが間違っていたのだ。

 

よく考えたら兆候はあった。Aさんからは「表に出ているものに対して中が貧弱」という趣旨のことをやんわりと言われていた。確かにその通りだった。そしてその原因は明らかに自分にあった。

 

要するに、投資パフォーマンスを改善する努力を怠っていたのだ。ここを怠っていたから、顧客の意見に流され、どんどんドツボにはまってしまっていた。軸がしっかりしていなかったのだ。これは単に心構えの問題ではなく、日々の活動の結果である。買うき銘柄が、いきなり湧いて出るなんてことはない。

 

力を入れていたのは、明らかに動画の撮影だった。本来必要な「投資すべき銘柄を探す」努力を怠っていた。動画を始める前までは、少なくとも週に1銘柄それを探す努力をしていた。だから当初のパフォーマンスは悪くなかった。しかし、動画に夢中になるあまりその1銘柄もなくしてしまっていた。そのことを顧客から指摘されてもいたが、何かしら理由をつけて逃げていた。

 

自分のことなのに、気づくまで本質的な意味で何もわからないとは思わなかった。まさに盲点だ。そして一回気づくと、自分はなんて愚かだったろうと腹立たしくなる。

 

昔のままでやっていたら、最低限のことはできていたかもしれない。はっきり言って、その時の自分は投資パフォーマンスを上げることに夢中だった。多くの投資家の動きを観察し、いろいろなことを学んでいた。しかし、動画を初めてチヤホヤされるなかで、いつしか謙虚な気持ちも忘れてしまっていたのだろう。

 

それでは、今から昔に戻れるかといえば、答えは否だ。当たり前だが、過去に戻ることはできない。そして、今や多くの顧客を抱え、従業員も雇った。ここから後戻りはできない。

 

重要なのは、今の状態からどう動いていくかだ。動画はそれはそれで事業のためには重要だ。一方で、これからは既存顧客のケアもより重要になってくる。だったら、この両輪をうまく回していくしかない。そのためにいるのが従業員だ。反省することが多い中で、1年前から従業員を雇う動きをしていたのは結果として良い状況を作り出している。学ぶ意識の高い顧客も増やすことができたと思う。

 

Make Lemonadeだ。ないものを嘆いても仕方がない。今あるものをどう使って、レモネードを作るか。まさにシェフの腕の見せ所だ。これまでに得たものを否定するのではなく、活用するしかない。

 

投資パフォーマンス改善のために、投資すべき銘柄を戦略的に探し、良いと思ったものを深掘りする。うまくいかなかったら改善を繰り返す。自分にできることはそれしかない。過去を振り返るのは胃が痛いが、やっていくしかないのだ。

 

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。
勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。
おのれを責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。

―徳川家康