小池百合子のノンフィクション小説。事業がうまくいかず、政治に取り入ろうとする父勇次郎の影響を受けた彼女の半生。

小説によると、彼女の人生は嘘と装飾ばかり。カイロ大学は卒業してないどころか、アラビア語もほとんどできない。実力はないが、権力者に取り入り、テレビ映えを取り繕うことでのし上がっていく。しかし、偉くなっても政治に対する信念などなく、なお偉くなることばかり考えている。

近年、都知事になってからもその姿が垣間見えていた。豊洲市場移転は耳障りの良いことばかり言って、結局何もしなかった。希望の党では「排除します」と、自分より下と考える人間を踏みにじる姿がテレビによって暴かれた。

人望がない理由がよくわかったし、一方で権力に取り入るために、二階幹事長を頼って自民党をコントロールしている姿も浮かぶ。

いくら偉くなっても、こんな人生で幸せなのだろうか。本人はそうするように育てられてきたから仕方がないのかもしれない。学校の勉強だけではない、教育の重要性が改めてよくわかる。

虚像で塗り固められたものはいずれ暴かれる。確かに、一時的な成功を得るためには、テレビ映えを意識し、時には着飾ることも必要かもしれない。そうやって彼女は「成功の階段」を登ることができた。しかし、いつまでも自分のことしか考えないと、やがてしっぺ返しを食らうことになる。彼女はいま、その真っ只中にあるのだろう。