家を買うときは物件の金額や住宅ローンの金利を気にするものだが、購入時にかかる費用は見落としがちになる。

家を買うのに必要な費用は購入金額の1割程度と言われる。3,000万円の家を買うとすると300万円だ。これはローンには含まれず、現金で支払うことになる。しかし、起業に向けて少しでもキャッシュを残したい身としては、これを少しでも削減しようとあの手この手を尽くした。

300万円の内訳は、ざっくり言うと仲介手数料110万円、ローン保証料(または事務手数料)60万円、火災保険50万円、登記費用50万円などである。かなり粘り強く調べたり交渉した結果、これらの大部分は既得権益の塊であり、かなり削減できることがわかった。

まず仲介手数料である。一般的に仲介手数料は「取引価格×3%+6万円」とされている。しかし、これはあくまで宅建業法で定められた上限であり、この金額でないといけない理由なんてどこにもない。そもそも、不動産の金額が高かろうと安かろうと、不動産屋の手間は変わらないはずなのに、取引金額に手数料が連動するのはおかしい。それでも、ほとんどの不動産屋が同じ手数料を提示してくる、競争が全く働いていない業界なのである。

いまどき、不動産情報自体はネットでいくらでも探せる。不動産屋だけが使える「レインズ」というものがあり、自分でも直接見たが、内容はHOMESやat homeとほとんど相違ない。したがって、少なくとも情報に関して言えばもはや不動産屋に価値はなく、最初から手数料が安い不動産屋を選んだ方がいい。

僕の場合は中古物件を探していたため、そこに特化しているところを選んだが、案の定上限の手数料を提示してきた。幸いセミナー参加等の条件で割引してくれ、結果的に15万円安くなったが、次選ぶとしたら最初から安いところにするだろう。もちろん、大変手厚い対応をしてくれたので、不動産屋には感謝している。

次にローン保証料または事務手数料である。メガバンクや地方銀行は保証料、ネット銀行は事務手数料という名目で取ってくることが多いが、基本的には同じである。これも融資金額×2%程度のような形で請求される。3,000万円借り入れて60万円だ。金利が安くても、ここが高かったら意味がない。

ひたすら安いところを調べた結果、僕が借りたフラット35では楽天銀行が一番安いことがわかった。税込で1.08%である。楽天銀行が融資口座であるという条件だったため、早速口座を開いた。今や僕のメインバンクだ。

正直、お金を借りるところはどこでもいい。ブランド価値のあるメガバンクで借りようと、怪しいネット銀行で借りようと、条件は同じだ。楽天銀行は融資の手続きの多くを自分でやらなければならず手間がかかるのが難点だが、自分でやらないと気が済まない自分にとってはちょうど良かった。結果的に当初見積もりから20万円安くすることができた。

火災保険だが、この世に保険ほど胡散臭い商品はない。不動産会社や銀行から提示される保険には全く必要のない補償が含まれている。高台の家なら水害補償は必要ないし、地震対策が十分にされた家なら高額の地震保険にまで入る必要はない。そもそも、地震保険は何かあった場合も保険金額の半分までしか支払われないから注意が必要だ。

払い方も重要である。35年ローンを組むと同じ期間・一括払いの保険を提示されることがほとんどだが、そうする必要は全くない。ローンを返すまでの期間火災保険が続いていればいいのだ。分割払いという方法もあるが、例えば5年の保険を更新の度に見直すという方法もある。僕は結局最低限の保険内容を5年で組み、当初支払う金額としては5万円に抑えることができた。

最後に司法書士に払う登記費用である。登記は不動産の所有権移転登記と住宅ローンの抵当権設定登記の2種類がある。これは税金等が多く含まれるので、どうしようもない部分が多い。削減できるのは司法書士の報酬だ。不動産会社や銀行から指定がないのであれば、幾つかの司法書士事務所を競わせて報酬を値下げさせるというのも手だ。

僕は幸い親戚に司法書士がいたので、かなり割引してもらい、約20万円節約できた。コネを使うという奥の手も忘れてはいけない。

最終的に、当初提示された金額から約100万円削減することができた。その気になればできるものである。大事なのは諦めないこと、とにかく考え行動することである。これをやっている間は大変だったが、非常に充実感があった。交渉術のいいトレーニングになったようだ。