クラウドファンディングのセミナーに参加してきた。

興味があったのは、自分が資金調達をしたい時に活用できるものなのかと、これからはじまる株式型のクラウドファンディングも含めて、投資対象としてはどうなのだろうということ。

世界のクラウドファンディングは現在5,000億円程度だが、その規模は倍々ゲームで伸びている。

中心は購入型と融資型。

購入型は直接的なリターンと言うよりも、企業やアーティスト、スポーツチームなどを応援してグッズや特典をもらうもの。金融の文脈ではないが、コンテンツ系には向いているかもしれない。

融資型はその名の通り融資のための資金を募るもので、講演を行った大前和徳氏のCrowd Bankがやっている。要は銀行なのだが(ただしCrowd Bankは証券会社)、経済面以外の理由で銀行が貸せない企業にお金を貸して厚めの金利を得て、さらにネットのコストメリットにより資金提供者に高いリターンを返すというものである。Crowd Bankでは現在5%以上の予定リターンとしている。リターンが高い合理的な理由があり、投資対象としてはありだと思う。

これらは今後も伸びて行くだろう。前者はNPO的に、後者は銀行の補完的に。自分が利用するとしたら後者の融資型になるだろうが、融資先が見えない銀行的にではなく、直接個人から融資を募る形にできないものだろうか。

そして来年4月に解禁される株式型である。要するに未公開株の販売なので、問題は山積みだ。そのため、総額1億円未満、1人50万円以内という制限をつけて開始されるということである。

これは正直厳しいと言わざるを得ない。特に投資家側として。資金調達側には何のディスクロージャー義務もなく、経済的にどうなのか調べる余地がない。経営者に直接会えるわけでもないから、本当はどんな人なのか知ることができない。一度投資してしまったが最後、IPOでもしなければ売却することもできない。

つまり、資金調達側と資金提供側の情報格差がこれ以上ないほど高いのである。最悪、お金を持ち逃げされて終わりだ。もちろん、きちんと開示する経営者も中にはいろだろうが、それでも悪いことは隠したいと思うのが人の心である。

経営者を応援するという文脈ではいいかもしれないが、その投資は返って来ないと思った方がいい。つまり、購入型と同じである。未公開株に投資をしたいのなら、信用できる知り合いかVCを通して行った方がいいだろう。VCを通せば情報格差は一気に縮まり、エグジットも見えてくる。