会社を立ち上げた瞬間から、その会社をどのくらいの規模にしたいのかを決めないといけません。

自分ひとり、または家族だけの会社であれば、コストは最小限で済みます。自分の頭を使うビジネスであれば投資もいらないので、家族の生活費だけ稼げれば事業としては成立します。ただし、できることも限られて来るので、よほど特別なリソースがない限り、爆発的に設けることも難しいのが特徴です。

家族以外の人を一人雇おうと思うと、急にハードルが高くなります。雇われた人には仮に収入がなくてもそれなりの給料・社会保障費を払い続けなければなりません。そのために、採用活動・労務管理など、売上に直接繋がらないコストが増えることになります。

もう少し会社が大きくなると、自分の目が届かないところで仕事が行われるようになります。これはある意味で会社としての理想です。創業者としては、自分がやらなくても収入が入ってくるようになります。しかし、そうしている間に、否応にも従業員の不満は溜まっていきます。

従業員の不満を解消するには、給料を上げるか、やりがいのある仕事を与えなければなりません。それを達成するためには会社が成長するのが分かりやすい解決策です。つまり、会社は人を雇った瞬間から成長することが宿命づけられているのです。

会社が大きくなると、収入が増え安定していきます。しかし同時に変化への適応力が失われます。なぜなら、一度作った会社のシステムはそう簡単に変えられるものではありませんし、人の性質としても変わらないことを望むからです。

社会の変化が大きいときに、中途半端な規模の会社はどうなってしまうでしょうか。売上が減りながらも、従業員をクビにすることもなかなかできないとなると、みるみるうちに損失が膨らんでいきます。ここで変化に適応できないと、待っているのは倒産です。そうなると、創業者ばかりか、従業員も大変なことになってしまいます。

つまり、会社の生き残りリスクは規模に比例するのではなく、大企業や零細企業よりも、中企業のほうが大きくなるのです。Vカーブ効果とも言われます。

さらに、僕にとって会社は自分がやりたいことをやるための「ハコ」だと考えています。そのハコが大きくなり、自分で自分を縛るようなことになったらそもそもの目的が失われてしまいます。

以上から、僕は現段階で会社を大きくすることは考えていません。