文章を書くにあたって、ロジカルシンキングが大事なのは言うまでもないが、短い文章で、人の興味を掻き立てる「コピー・ライティング」も商売をする上では必要だと思い読んでみた。その結論として、文章を書くということはその長短に関わらず、共通するやり方があるということを感じた。

人は「安い」「違う」に弱い。しかし、それだけでは卑しい。

宣伝文句に関して、人は「安い」と「違う」に大変弱い。これは基本中の基本である。ただし、そればかりを強調するとなんだか卑しいものになってしまう。スーパーのチラシならいいかもしれないが、ハイ・コンセプトなものをプレミアムな価格で売ろうと思ったら、これだけでは不十分だろう。

根本思想を問いただす。

短いコピーを書くにしても、その「根本思想」はしっかりしたものでなくてはならない。そのために、書きたいもののことをよく調べ、自分の中で咀嚼して、一回文章に起こしてみてからそれが正しいかどうか自分のなかで問いかけ、時には人に見てもらって最終的に腹に落とす作業が不可欠である。

余分な物を削ぎ落とす。

そうやって腹に落ちたもののエッセンスとしてアウトプットを出すことで、人がパッと見て理解できる文章を書くことができる。逆に、長い文章というのはそれだけで人の読む気をなくさせるので、文章というのは余分な物を可能な限り削ぎ落としたものであることがのぞましい。

タイトルの付け方が文章を決める。

余分な物を極限まで削ぎ落したものが「サマリー」であり、更にその中で一番言いたいことだけを一言で言い表したものが「タイトル」である。そう考えると、タイトルというのはものすごく重要なものであり、その一言で言い表せるかどうかが、その文章が一貫性を持った「読みやすい」文章であるかどうかを左右すると思う。

文章は読み手のためにある。

ここまでできたら、最後はできたものが読み手の興味のあることかどうかをチェックする。ここで重要になるのが「問い」の立て方である。たとえば、断捨離を奨めるときに「いらないものを捨てなさい」というタイトルをつけても、押し付けがましく読み手の興味をそそることはできないだろう。しかし、「クローゼットのその服、これからのあなたの人生に必要ですか」と、主語を「あなた」とし、あなたが何をするかに焦点を当てることで俄然興味をそそるものになるだろう。文章は自分のために書く以上に、読み手にとってのものでなければならない。


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