大阪松竹座の「二月花形歌舞伎」ですが、
先日の昼の部があまりにおもしろかったので、ついついチケットを購入。
http://blog.goo.ne.jp/optimism-n_n-/d/20120215

今度は、2月25日(土)の夜の部に行ってきました。

夜の部の演目は、一幕目が『義経千本桜』から『すし屋』の段で、
二幕目が『研辰(とぎたつ)の討たれ』。

『すし屋』の段は、今回の演目のなかで唯一の古典。
片岡愛之助が主演ということで、どんな雰囲気になるのかなと思っていたけど、
思っていたよりもよかった。


いがみの権太と呼ばれるならず者が、父・弥左衛門の許しを得ようと改心し、
維盛親子を助けようとして、逆に父親に殺されるという悲劇の結末に、
親子の情と悲哀を描いた作品。

いがみの権太を片岡愛之助、弥助こと維盛を市川染五郎、
弥助に恋するお里を中村壱太郎が演じるのだが、
この壱太郎のお里がめちゃくちゃかわいい!

とくに、お里が弥助に寝ましょう寝ましょうと誘うシーンはたまらない!

染五郎は弥助と維盛とをきちんと演じ分け、さすが!としか言いようがない。

そして後半部分、維盛のために妻子の命まで差し出す権太の見せ場のシーン。
花道で行きあぐんでいる妻子に行けと目くばせする様子が、
切なくも痛々しくもあり、権太の複雑な心境を愛之助がうまく表現していた。


二幕目の『研辰の討たれ』は、
最近では野田版で中村勘九郎(現勘三郎)が演じたことで話題になった演目。


野田版のそれは観たことがないので、どんな雰囲気なのかは分からないけど、
今回は、演目としては“基本形に忠実に”やったそうだ。
そのせいかどうか、場面転換のたびに幕が下りるので、
せっかく盛り上がってきたと思ったら中断、そのたびに気持ちが冷め、
話に集中できなかった。
しかも、場面数も多くて、なんとなく間延びした感じも。。。

町人から侍に取り立てられた研屋の辰次。
殿様にうまく取り入って侍になったものの、根っからの町人根性が抜けず、
媚やおべっかを並べ立てる辰次に、周りの侍たちは我慢の限界を超えていた。
そんななか、家老の平井市郎右衛門は、あまりにも鼻持ちならない辰次を
皆の前で罵倒し、唾を吐きかけて去って行く。

悔しくてならない辰次は、市郎右衛門をだまし討ちにし、
そこへ駆けつけた市郎右衛門の二人の息子から、
敵討ちにと追われることとなる。

逃げた辰次を兄弟が追いかけて、3人が縦横無尽に客席を駆け回ったり、
兄弟に捕まった辰次が、最後まで斬らないでくれと嘆願して
ゴマをするところなど、ドタバタで笑える要素もたっぷり。

それなりにおもしろかったけど、やっぱり、昼の部の完成度と比較すると、
もう少しやりようがあったのではないかなと。。。

ただ、ここでも僧の良寛役の中村翫雀が面白い味を出していた。

翫雀に救われた要素も大きいかなと思う。



「二月花形歌舞伎」
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/osaka/2012/02/post_24.html

「大阪松竹座」
http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/