世界というおりの中で | THOUSAND WINDS

世界というおりの中で

その蚊はその事務所の部屋の中が、世界の全てだと思い込み、やがて死を迎える。
人間とていくら百億光年もの先の光を捉えたようにうれしがってみても、
しょせんいまだ地球の外に定住することすらかなわず。
つまりそんなに変わらない。
わたしらよりはるかに進化した生物が、
恒星間航行を可能にして、はるか遠方の星から地球に到来していたとしても、
せいぜいご近所の星の間の話。
たとえ究極にまで進化した生物が、自力で宇宙のどこへでも瞬時に跳べる能力があった所で、
この狭い宇宙と言うおりの外へは出られない。

たとえ人間の数万倍の知能を持った、超人が登場したところで、
たとえこの宇宙内のあらゆる事柄、知識を身につけたとて、
それはこの世界がどう作られてるかを知るのみ。
なぜそうなってるのかは、内側からは分からない。
人とて制限の中で生きる生き物に過ぎない。
いくら世界の外の事を知りたくても
あの小さな蚊がビルの外の広大な世界を知らずに死ぬのと同じ、
我々にはこの狭い宇宙があてがわれただけ。
いくら知識を身につけた所で、必ず我々よりも
はるかに進化した、高度な生命体は存在する。
しょせんはこのさらに狭い地球の表面で、
のさばってるのが関の山。
だからこそ思う。
たとえ無理であろうと、
この下等生物であるわたしが、
世界の外について思いをはせてみようなどと。