マグダラ | THOUSAND WINDS

マグダラ

あの人はナジル人でしたので、
最後まであの人を「知る」事はありませんでした。
誰も裏切ってません。
刑場のすぐそばで見てたなんてのはウソです。
誰も怖がって近づきませんでした。
あの人は孤独な死を迎えました。
いきなりローマ兵に連れていかれたとの事です。
弟子たちの中では、誰が1番弟子か、神の国ではどこの席に座るか、
かなり議論が取り交わされました。
確かにあの人と一緒にいた時間は私が一番長かったのですが、
「お前だけに明かされた御国の秘伝を教えろ」だとか、
「女は天国に行けないし、弟子にもふさわしくない」とも言われました。
彼はいつも嘆くように、すべての人が悔い改めなければ、
地上に神の国は表れないと言っていました。
そして人手が足りない、もっと神の働き手を増やさなければとも言っていました。
これからと言う時に、あんな事になってしまって。
もうじきあのザアカイが呼びに来ます。
シリアの港より船に乗り、ギリシャよりずっと遠い国へ、
渡る事にしました。
そこで私が受けたものを、
本当の神の御言葉を、
あの方に代わって、
異邦人に伝える為に。
あるマグダラと呼ばれた
罪深い女より。