「仕事」という言葉は

その他のプライベートな予定よりも

絶対的に優先されるべき効力をもつ

「仕事だから、仕方ないよ」

というのは、自分や相手を黙らせるための常套句だ

私自身も、自分や家族に対して

何度もそんな言い訳をしてきたものだ



ある時、専業主婦の私の妻が

私が「仕事」というワードを用いると

とても悔しそうな、嫌な顔をすることがあった

妻は、家事をすべて担っているが

それは、いわゆる、給料の出る「仕事」ではない

そんなことがあってから

365日、休むことなく働き続ける妻に

私は「仕事」という言い訳は

使いたくなくなった


労働して、その対価として収入を得る

それは生きていくために必要な社会的活動だ

働くことは、確かに意味のあることで

尊いことでさえある


しかし、我々は「生きるために」働くのであって

「働くために」生きているのではない

自分の命を削ってまでやらなければならない仕事なんて

そうあるものではない

ところが実際は、どちらが大切なのか

わからなくなってしまい

本当に命を落とす人もいる



現在の少子化問題を何とかしようと思うなら

日本人は働き方を変えなければならないだろう

「ライフ・ワークバランス」という考え方があるが

今まであまりにもワーク側に片寄ってきたバランスを

ライフ側に移していく

そうして、子育て世代(介護世代も?)は気兼ねせず

子供のことに時間をさけるようになり

みんなが「お互い様」と言い合えるようになるといい


仕事のことだけでなく

地域社会(子供の学校や町会など)とつながることが

一人の社会人の「ライフ」を豊かにする

それは災害時などの安全確保にもつながり

それが社会全体のウエルビーイングを高めていく


そんな理想のもと、

教員の働き方改革を推進するために

今年は教職員に、年6日以上の

「再充電休暇(Rechargeable Leave)」の取得に

チャレンジしてもらうことにした

過重労働で疲れきった教員に

普段の業務日に、かわりばんこで

休養や好きなことに使う

正当な「権利」を行使してもらう

毎月、と言いたかったが

今まで、ほとんど取ることができなかった

有給休暇を取得するので

「学年で相談して、二月に1日程度を

目指してみてほしい

そうして、誰かが休んだとしても

滞ることのない学校にしていきたい」

と伝えた


「センセイ、明日ディズニーランド行ってくるから

お休みするね!」

「えー、いいなー! 楽しんできてね!」


そんなこと、できるの? と思っている教員も多いだろう

確かに、実際取ろうと思って予定表を見てみると

授業を持たない自分でさえもなかなか難しい

多少、「無理して」取ろうとしない限り

取ることはできないだろう


でも、そうしてやってみているうちに

何とかなるね、とみんなが気づいたら

きっと少しずつでも、何かが変わるはずだ