学年主任の先生が、これからの国際社会

やっぱり英語だ!と言って

学年をあげて、英語を頑張らせようと言ってくれた

中学校の教員は、ほとんど他教科のことには

口出しすることはない

にも関わらず、私に活躍の場をくれた

 

それで、2年目の年、学年全員で

英語劇に挑戦し、区の英語学芸会に

参加しよう、優勝目指して!

と、言ってくれた

当時の校長が、ドイツ語が得意な

植物学者だったので

朝礼でドイツ語の詩を紹介したりしていた

それにちなんで

2年生の劇団を「エリカ」と名付けた

 

挑戦したのは「シンデレラ イン H」というコメディで

脚本は、確か、その先生が

以前別の学校でやったことあるというものだったと思う

 

その後悲惨な事故で亡くなったT君が主役で、

近くの結婚式場から借りたウエディングドレスを着せ

保護者の社交ダンスをされてる方に手解きを受け

舞踏会のシーンを行ったりした

私は演劇は、初めての経験で

手探り状態だったが

英語の指導や音響など、本当に楽しくやった

結果は、区大会2位で、惜しくも

都大会のキップは逃したが

大きな手応えをつかむことができた

 

翌年、最後の年、3年生になって

今年は自分で脚本を書いてみたいと思った

その年はちょうど戦後50周年の祈念の年だった

テーマは反戦、平和にしたかった

夏休み中に、以前子供のために買ってあった

「かわいそうなぞう」という本を

劇にしたいと思い、一気に書き上げた

 

劇団は学年全員なので

役者だけでなく、裏方や

その他の役割も必要だった

そこでチャップリンに憧れていた私は

劇をミュージカルにして、合唱団を作り

全員に役割を与えようと思った

そのため、劇の音楽も何曲か作曲した

たまたま、主題曲が魂のこもった名作(自分史上!)になった

 

中3になり、生徒たちの英語力もアップしていたし

学年の仲は最高潮だった

学年劇「エレファント・ソング」は

予想を上回る素晴らしい作品となった

 

生徒たちは、難しい台詞を覚えただけでなく

反戦を訴える、気迫のこもった演技で

もはや、涙を流しながら訴える姿は

演技を、完全に超えていた

合唱団の歌も感動を呼び

また、劇に登場させるゾウを

影絵で表現しようと頑張ってくれたスタッフ

大道具、小道具

我々教員も含め

みんなが力を合わせて作り上げた

素晴らしい取組となった

 

区大会で文句なしの優勝を果たし

12月に行われる、都大会に

区を代表して出場することとなった

 

中3だったので、本来なら

区大会の後、受験モードに入るべきところだったが

保護者の了解も得て、

全員で12月の都大会に出場することになった

 

足立区は、その歴史の中で

英語劇大会で数十年の間入選したことはなかった

足立の子は、都心の子にはかなわない

そんなあきらめモードが自他ともにあった

 

さすがに都大会はレベルが高く

洗練された英語を使いこなす学校がたくさん出場していた

しかし、私たちの劇は

ただの劇ではなく、反戦の

平和のメッセージだった

生徒たちは、使命感をもって臨んでいた

 

私の悪い癖で、つい多くを語りすぎてしまうところがあり

区大会の劇は、既定の20分を大幅にオーバーし

倍近くの時間がかかっていた

それを、都大会バージョンの20分に縮小するため

泣く泣く、ナレーションの大部分をカットした

それでも、生徒たちは

十分に平和のメッセンジャー役を果たしてくれた

 

そうして、私たちの作品は

都大会で第3位入賞を果たした

その結果は、私たちの学校だけでなく

足立区の学校の希望の光となった