数週間前、町の図書館で目についた本を借りた

気配り、配慮のススメ、という内容だった

言葉をどう選ぶか

同じことを伝えるにも

相手に気持ちよく受け取ってもらえる伝え方がある

その逆もある

具体的な例を引きながら

そんなことを考えさせてくれる本だった


だが、読んだあとしばらくの間

何となく気分が停滞していた

自分は普段そんな配慮はできていないだろうなと

感じたからだろうか

まるで食べ物の毒にあたったかのように

(この本はとてもいい本ですが!)



その時、借りに行ったのは

経営学に関する入門書だった

経営学、は意外にもほとんど見つからなかった

ドラッカー関連の本が何冊かあるくらいで

あとは稲森、松下、本田、孫など

著名な経営者に関する本くらいだった


一番分かりやすそうな本を選んだ 


これは当たりで

とても分かりやすく、かつ勉強になった

何年か前、ドラッカーが何故あんなに話題になったのか

よくわかった

読んでみて、アウトラインをぼんやりとつかむことができたので

これから、もう少ししっかり学びたいと思った


ところで、この解説書の著者が

初めと後書きに書いていた

「ドラッカーの著書を100回以上読んだ」

というのに、とても感銘を受けた

読むたびに、新しい気付きがあったと

そして、100回位読んで

ようやくドラッカーの思考が

自分のものになってきたと



私は本を読むのが苦手だ

本を読んで、自分の中に知識を取り込むのは難しい

学者にはなれないと思った


しかし、一度読んだくらいで

何かを得られるなどと思っていたのが

そもそも間違いだったということに

「ドラッカーの著書を100回以上読んだ」で気づかされた



読む、というのは、かなり高度な知的作業だ

特に日本語なら、字面だけ目が追っているだけで

内容がまったく頭に入っていないことがよくある

頭が思考する読む方ができないと

読んだことにならないのだ


以前、能動的な読み方、頭が思考している読み方とは

どういうことか、かんたんな英文を使って

解説してくれた本を読んだことがある

"She had two daughters, who became doctors."

これを読んで、「彼女には二人娘があり、二人とも医者になった」

と和訳して終わってしまう人と

「へー、すごいね。どういう子育てをしたんだろう?」

と疑問をもつ人とでは読みがまったく違うというのだ

これは読書に限らず

常に「どうなっているのだろう?」「なぜだろう?」と

何かを見聞きした時に思考する人は

脳のスペックが違うのだそうだ


ドラッカーの前は

ハラリさんの子ども向けの本を読んでいた

以前読んだ「サピエンス全史(原文)」の

子ども向けバージョンだ

サピエンス全史は、さすがに難しかったが

こちらは子ども向けなので

読みやすく、分かりやすかった

サピエンス全史に書かれていたことが

はっきりとわかった

アインシュタインが言っていたが

本当に深く物事を理解している人は

どんなに難しい理論でも、子どもがわかるように

説明できるものだ、というのは本当だ

これを読んだあと、物の見方・考え方が

確かに変わった

 
ハラリさんの本と平行して読んだのは
今年の甲子園で優勝した慶応高校の監督が書いた
この本だ
甲子園大会で、慶応が勝ち進んでいる間
大変話題になっていたので手にいれて読んだ
大変参考になった
 
その前に読んだのが
新聞の広告で見つけた、二人の哲人の対談集だ
この二人は、偉大な読書家でもある
二人とも、強いという印象とは異なり
大変繊細な方だ
元外交官の佐藤氏は、並みの人には想像もできないような
壮絶な体験をしているが
その根底にある強さは
キリスト教の信仰にあるという

その前は、久しぶりに小説を読んだ
村上春樹だ
村上春樹らしい話だった
前半の高校生の時の話と
後半の40代になってからの話と
パラレルワールドとして存在している
影のない世界の話

村上春樹は若いときに書いた作品を
今回書き直したそうだ
若いときには、書けなかったことが
今なら書けると思ったそうだ
恐らく、ノルウェーの森を書いていた頃とは
随分違っているだろうが
本質的な部分は変わらないのではないだろうか

個人的には、羊男の出てくる頃や
ノルウェーの森も面白かったが
ねじまき鳥、カフカ、そして1Q84 までが
最もスリリングで好きだった
いくつか(4,5作品?)は、英語訳でも読んだことがある
(ペーパーバックの1Q84は一冊閉じで
持ち歩けなかったので、真ん中当たりで
真っ二つにして読んだ)
この本は、最後まで読んで
高校生の時の彼女がどうなったのか
とても、切なさが残った




これらの本と平行して
仕事用の本も何冊も読んだ
自分の頭にあるイメージを
言葉で表現してくれている本と出会えるのは
大変素晴らしいことだ

しかし、一読しただけでは不十分なので
読書に当てる時間を
日々の生活の中に位置付けることが課題だ