その後、他の本を読む合間に読み進めてきた4部作
「ギバー」それ自体が完成された作品だったので
二作目の「ギャザリング・ブルー」を読み始めたとき
似たような未来世界の話だという感じはしていたが
関連のある話だとは思わず、別の物語として読んでいた
主人公は「キラ」という、脚に障害のある女の子
名前が日本的なのが印象的だった
「ギバー」の町とは異なる、いなかというか、自然の豊かな土地だ
キラは糸を使って刺繍をする才能に恵まれていた
しかし、それはただの才能ではなく
ギバーのジョナス同様、特別な能力だった
 
その次は「メッセンジャー」だった
これも読みはじめは、前作に似た感じだと思ったら
明らかに続きであることがじきにわかった
「ギャザリング・ブルー」に出てきたマット、
マッティという少年が主人公で
キラの父親と、平和な村で暮らしている
その誰をも受け入れる優しい村に異変が起こり
マッティが「リーダー」とともに
村を救うために立ち上がる話だった
世界が悪に封鎖される前に
キラを村に連れてくるというミッションに挑む
マッティもまた特別な能力を授かっていた
それは「癒し」の力だった
というところで、二作目と三作目は繋がっているのはわかったが
最後の作品「サン(息子)」を読んですべてが繋がった
この作品は三部構成になっていて
第一部で、「ギバー」のコミュニティに暮らす
クレアという少女の話から始まり
クレアが、ジョナスの二つ上で
ほぼ同じ時を過ごしていたことがわかった
クレアは、コミュニティの「産みの母親」という役割を与えられ
一人の男の子を帝王切開で出産する
しかし、何らかの異常があったのか
「産みの母親」役を解任され、魚の養殖場で働くことになる
異常があったことの混乱のためか、クレアは
コミュニティの誰もが服用しているある薬を
飲まずにいることができた
すると、それまで感じたことのない感情が
沸き起こってくるようになった
それは、生んだ子どもへの愛だった
実はその赤ん坊が
ジョナスの家の父親が勤める赤子の養育場で
特に手がかかる子どもだったため
度々、家に連れ帰っている赤ん坊、
ゲイブという子だった
クレアは偶然知り得た情報から
自分の生んだ赤ん坊を特定することができた
何とか赤ん坊を取り戻したいと願い
二年が経過するが自由にはならない
そのうち、コミュニティの掟で
異常のある子は、リリースされることを知る
ちょうどその時、レシーバーに選ばれていたジョナスが
ギバーと組んで、コミュニティから逃げ出す計画をたてていた
ジョナスは明日にもリリース(殺害)されることになっている
ゲイブを連れて、こっそりコミュニティを抜け出す
それを知ったクレアは
「どこか別のところ」から川を船で下ってくる
異国人と知り合い、コミュニティを抜け出した
川から海に出た時
ひどい悪天候によって、船が転覆してしまう
 
第二部では、その後の14歳のクレアの物語で
「どこか別のところ」にある村で助けられたが
記憶を失っていて、ウォーター・クレアと呼ばれているところから始まった
村の長老である女性アリスに引き取られ
体を直し、次第に記憶を取り戻していく
そして、自分は息子を取り戻したいという思いに気付き
どうすればよいか悩んでいると
村の羊飼い(?ヤギだったかな)のフィアス(獰猛な)・エイナー
(今はレイム(かたわの)・エイナーと呼ばれている)という18歳の青年に
一つだけ方法があると知らされる
村の外れにある断崖絶壁は
とても登ることはできない崖だったが
エイナーは登ったことがあるという
そして、崖の上で願いを叶えてくれる
トレードマスターという異国人に会った
エイナー自身は取引を拒絶したため
罰として体に障害を負っている
クレアはなんとしても崖を登り
息子に会えるようにしてもらうと決意する
しかし、断崖絶壁は普通の人間には登ることはできない
エイナーはクレアを訓練して
登れるようにしてやるという
それから数年かけて、徹底的に体を鍛え
崖を登る方法を伝授していった
大変な苦労をしてクレアは力をつけ
とうとう崖を登ることができるようになる
何度もエイナーとシミュレーションを重ねていたクレアは
途中、鳥に襲われ、大怪我を負うが
何とか崖を登りきることに成功する
そして、すぐにトレードマスターという男に会うことができた
 
トレードマスターは、とても変わった格好をしていて
息がたまらなく臭かった
そして、息子に会いたいというクレアに
取引を迫り、クレアの若さをいただくという
取引が成立したところで
クレアは自分の体が、年老いてしまったことに気付く
 
第三部は、クレアが自分の息子ゲイブを
傍らから見つめているシーンから始まる
三作目の優しい村で暮らしていることが次第にわかってくる
そこにはキラがいて
そして、キラたちを助けたリーダーもいた
キラはそのリーダーと結婚していて
そのリーダーこそがジョナスだったということが分かった
これですべてがつながった
ゲイブが、自分のことを見つめている年老いた見知らぬ女性が
自分の母親だと知り
彼女を救うために、悪の権化であるトレードマスターとの
勝負に臨むことになり
最後に、愛が悪に勝利するところで
物語が集結した
瀕死の状態だったクレアは
若さを取り戻し
魔の手が忍び寄っていた村に
本当の平穏が訪れるところですべての話が終結した
 
最後のあたりは、とてもスリリングで
一気に読み進めてしまった
最後に愛が、邪悪に勝利したところが
とてもよかった