長女がこの夏に結婚する
昨日は相手方のご両親と初対面でご挨拶をした
娘たちが、岩槻にある素敵な料亭に招待してくれた
食事をしながら、和やかに愉しく話をした
妻からこの子を妊娠したと聞かされたとき
始め、さっと血の気が引く思いをした
自分が親になる? そんなことがあってよいのか?
そう、最初に訪れたのは「不安」だった
そして、次の瞬間
心の底から沸き上がってくる
ものすごく強い感情が
全身を満たした
それまでの人生で味わったことのない
訳のわからない「喜び」だった
自分たちが親になるのだ!
自分たちの命を受け継ぐ、
新しい命が誕生しようとしているのだ!
次の年の春の終わりに
娘は、予定より一月も早くこの世に生まれてきた
小さい、小さい体で
それから妻と二人
おままごとのような子育てが始まった
そうして、娘の成長とともに
私たちは、少しずつ「親」になっていった
今思えば
長女が生まれたころは、
自分たちがまだ子どもだった
何をどうすればよいのかもわからず
手探りでの子育てだった
私は特に子どもで
妻の苦労にも気付かず
のんきなものだったと、今にして反省している
長女の誕生については
まだ仕事や生活に忙殺されていなかったので
歌を作っている
(二人目からはその余裕はなくなっていた)
その中で
「君が生まれてきた
この世界がどうなるか
誰にもわからないけれど
僕らが守ってあげる」
と書いた
本当に、娘が生まれてきてからの年月は
激動の時代だった
残念ながら力足りず
親として、娘を守ってやれなかった時もあった
それでも彼女は努力家だから
自分でどんどん人生を切り拓き
とうとう、ともに生きる相手を見つけた
親として、こんなに喜ばしいことはない
昨日、相手方のご両親とお会いして
自分が結婚したときのことを思い出した
私は本当に世間知らずの、子どもで
妻と二人のことしか頭になかったが
いざ、結婚となると
それまで何の縁もゆかりもなかった
大正時代生まれの妻の親と、
昭和初期生まれの自分の親とが
親族となるということに気付き、びっくりした
こうして、日本という国に
新たな家庭が生まれ
家族が生まれ
歴史が続いていくのだ
愛し合う二人だけの問題ではないのだ
そう感じたとき、これから自分たちが進んでいく未来に
強い責任感がわいてきたものだ
その事を、最後に一同に介した両家に伝え
これから末長くお付き合いさせていただきたい、と
挨拶をした
そして、私は昨日
やっと、本当の「親」になれた気がした