昨日は妻の誕生日

妻は私より一月先に還暦を迎えた

一生の中で、ある意味「節目」とも言えるこの日のために

私も例年よりも頭を悩ませてこの日を迎えた

 

出会ってから結婚するまでは

毎年、歌を作ってそれを録音したテープを

プレゼントと一緒に贈っていた

誕生日のために作った歌は

どれも自分の代表作となっていた

 

結婚してからは、いつも一緒にいるので

妻のために創作するのは難しくなった

重ねて、自分自身が「仕事」に忙殺されて

音楽を楽しんでいる余裕もほとんどなくなってしまっていた

楽器を演奏したり、歌を歌ったりすることはあっても

自分で歌を作る余裕はなくなってしまっていた

30代以降になってから作曲したのは

片手の指くらいしかない

(それまでの30年で400曲位作っていたことを

考えると、もう音楽活動は終わったようなものだった)

 

それでも、東日本大震災のあと

友達とチャリティーコンサートなどをするようになり

以前とは別の意味で、真剣に

音楽と向かい合うようになっていた

そのころから、作曲らしきことも

少しは再開していたが

ひとつの作品を仕上げることはほとんどなかった

 

そんなわけで、ここ十年ばかり

妻のことを歌った歌を、ワンフレーズ、ツーフレーズ位

作ってはいた

なかなか気に入っていたのだが、作品にならぬまま

時間ばかり過ぎていった

その途中、イタリア語の勉強をした時期があり

イタリア語でワンフレーズ作ったものもあった

 

数週間前に、今年の妻の誕生日には

久しぶりに歌を贈ろうと思い

最近作り始めていた曲と

ここ十年暖めてきた曲を仕上げてみようと思った

 

しかし、一緒に暮らしている中で

目の前にいる人に捧げる歌を作るのは至難の技で

なかなか先に進まなかった 

最近作り始めていた曲は、出だしはうまくできたが

その先が出てこなくなってしまい

やはり、十年暖めてきた方を仕上げることにした

(以前は、歌は一気に作るものだと思っていたが

カナダのミュージシャン、レナード・コーエンの

ことを知って、1曲を何年もかけて作るというのも

あることに気が付いた)

 

そんなわけで、二日前に何とか歌詞を書き上げ

前日の勤務終了後、簡単に録音した

(結婚前に作っていた時は

機材もそれなりのもので、

「レコーディング」と呼んで

真剣につくっていた)

人に聞かせるものではなく

あくまで、たった一人の人のために作ったものだ

ギリギリまでとりなおして

とりあえず、どんな歌なのかわかる程度のものを作り

歌詞は妻が寝たあと(12時を過ぎて、誕生日当日になっていたが)に、

手紙と一緒に書いて

用意していたプレゼントと一緒にテーブルに置いておいた

 

録音した音源は、編集が必要だったので

当日、編集をして、LINEに添付して送った

先に歌詞を読んでいただろう妻は

それを聞いて、どう思っただろう?

 

 

歌は、歌詞を書いているうちに

イメージが少し変わり、タイトルも

「日常」となった

(歌詞には、「日常」という言葉は一度も出てこないが)

 

「こんなに君のことを愛しているのに

まだ愛したりないような

そんな気がしてる」

 

これが十年暖めてきたフレーズ

その後、イタリア語の部分は、正確かどうかもわからないが

日本語では恥ずかしくて言えないようなことを

伝えるための部分だ

メロディもイタリア語を意識して作った

 

 

納得のいくまで作りこんだ作品ではなかったが

何とか間に合った

帰りがけにケーキも買って

娘のうちの一人と、たった三人でお祝いをした

その後、オンラインで家を出ている

二人の娘も参加し

ハッピーバースデーも歌った

 

妻は喜んでくれたと思う

 

 

「日常」 

 W. and M. by T.K. ~2023

 

こんなに君のことを愛しているのに
まだ愛し足りないような、そんな気がしてる
君と生きるこの幸せを感じているのに
なぜか哀しみに似たような切なさを覚えてる

どんなに君のことを思っているのか
どうすれば君にうまく伝えられるだろう
君に伝えたい思いが言葉にならない
だから僕は君を強く抱きしめるだけ


Veniamo insieme, mia moglie
Sono felice con te, con te
Facciamo l'amore lentamente
E piu e piu volte
Molte volte
Ti amo, mia moglie


こんなに長い時を過ごしてきたのに
今でもまだ君を思い、不安覚えてる
君と結婚したときに思い描いてたのは
ビートルズが歌っていた64の二人

あとどれだけの時が残されていたって
この命続く限り君を愛し続けるだろう
こんなに君のことを愛しているのに
まだ愛したりないような、そんな気がしている

 

Veniamo insieme, mia moglie
Sono felice con te, con te
Facciamo l'amore lentamente
E piu e piu volte
Molte volte
Ti amo, mia moglie