今回のバタフライエフェクトは

ビートルズにスポットライトを当てた番組だった


ビートルズの偉業については、これまでにも

十分に語り尽くされているとは思ったが

さすがは「バタフライエフェクト」

切り取りかたがいままでにない

斬新、かつ、彼らの偉業として

忘れてはならない類いのもので、

改めて感動させられた


私もジョンやポールの故郷である

リバプールの町をバスツアー(マジカルミステリーツアー)で

巡ったが、今でも当時の様子と変わらぬような

寂れた感じの町だった


そんな何でもない所から

現れた若者たちが世界を変えた


番組は、最初の数分で

内容の要約を紹介してくれるが

そこでアナウンサーが言ったのは

当時の世界を束縛していた、人々の意識

階級社会

人種差別

そして戦争

ビートルズは、これらの価値観に

真正面から「ノー!」を突きつけた、ということだった




これらの功績については

ビートルズの偉業の中では、あまり表だって

称賛されることはなかったが、

改めてこのような切り口で振り返ると

彼らの与えた影響は

その当時の当事者(マイノリティ)にとっては

計り知れないほどのものであったのだ



イギリスの階級の差というものは

長い歴史の中で作られた、別世界のようなもので

お互いに混じり合うことのないようなものたったが

労働者階級出のビートルズは

ユーモアとウイットで、どちらの階級の意識をも変えた


女王陛下から勲章を授与されたとき

それまでに叙勲されていた元軍人らが

勲章を返還するような騒ぎが起きたときも

「僕らは人を殺して勲章をもらったんじゃない

人を喜ばせてもらったのだ」と言ったことは有名なエピソードだ



また、ビートルズは、ロックンロールを始めたきっかけが
エルビスだったが、エルビスも含め
リトルリチャードやファッツドミノ、チャックベリーなど
アメリカの黒人ミュージシャンの影響を受けたからだった

アメリカは公民権運動の真っ只中で
特に南部では黒人差別は悲惨なものだった
そんな中、白人であるビートルズが
何のこだわりもなく、黒人ミュージシャンや
ボクシングチャンピオンのモハメド・アリと
交流する姿は、被差別側の黒人の意識を変えた

ビートルズは人種隔離政策をしている会場では
コンサートをしない、と宣言し
初めて、黒人と白人が別けられることのない席で
コンサートが行われたそうだ
これがキング牧師らが進めていた
公民権運動を後押しし、その翌年
公民権法が制定されたという



そして、ビートルズは
当然のことながら、「戦争はダメだ」

と当たり前のことを言った


このように、その当時の社会が陥っていた

闇のような部分に

正直に、素朴に「ノー」を突きつけた

それは、当時の情勢の中では

なかなかできることではなかったのだ



ビートルズについては、2回に分けての放送ということで
今回は「赤の時代」と、ちょっと誤解を与えるような
言い方をしていたが、ビートルズファンなら
ああ、赤盤・青盤のことね、と
ピンと来ただろう

来週は、ビートルズが
ただのロックバンドから、世界の流れを左右する
新しい文化の牽引者になっていく
青の時代の特集だ