松尾英明先生は、想像していた通りの

大変感じのよい、誠実な印象の先生だった

千葉からアクアラインを通って

私の学校まで駆けつけてくださった

研究主任と一緒にご挨拶して

研究会の打ち合わせを簡単に行った

何と、本校には松尾先生が初任の頃

児童として教わったことのある教員がいた

ご縁があるものだなと感心した


事前に集めた質問は

松尾先生にとっては、否定的な印象を与える内容が多かった

それは本の内容を読めばわかることだったが

本の見出しを見ただけでは伝わりにくいことだった

だから、児童の姿という「事実」を中心に

先生の実践を話していただくことにした

松尾先生も、そのつもりでプレゼンテーションの準備を

してきてくださっていた


少し、ワークショップ的な要素を入れて

話題を自分事と捉えられるように話を進めてくださった


「先生のいうことをよく聞く」と「主体的な児童」の関係は?


このように考えてもらうと、普通は

それは、主体的な姿と逆か?という思いになりがちだが

松尾先生は

「では、主体的な児童は先生の話を聞かなくていいんですか?」

と再び問い、それでは困りますよね、というと

職員は深くうなづいていた


主体性とは何か?

松尾先生は、非常に明快に定義づけてくれた


「主体性とは自己決定とその決定に責任をもつこと」


これは、「7つの習慣」の第一の習慣である

"Be proactive."からとって考えている

「主体性」の、日本語訳のようなものだ

これが、職員に理解してもらえるだけでも

松尾先生に来てもらえてよかったと思った


つまり、自分で考えられる、というだけでなく

先生の話をよく聞く、ということを

自分自身が決定して聞いている姿は

まさに主体的な姿であり

先生の言われた通りにやって、うまくいかなかったとしても

それを先生のせいにするのではなく

自分が選んだ結果として受け止められるのが

主体的な児童だと言えるわけだ


大抵の教師は、ここを勘違いして

主体的な児童は、先生の話なんて必要ないと

思っているのではないかと不安になってしまうのだ


そのあとも、事前の質問にあわせて、具体的に話し

誤解を解いていってくれた

先生の話が終わったあとは、研究推進のための

三つの部である

学力向上部、特別活動部、Leader in Me部に分かれて

講演の振り返りとまとめを行った

そこで、さらに質問が出され

松尾先生に具体的に答えていただいた


ここまでは、これまでの研究会と変わらなかったが

そのあと、「他に質問はありますか?」と言ったところから

様子が変わった

本を読んでいた数少ない教員の一人が

深い質問をしたところから

若手の教員が、いい質問をどんどん出していった

最後に、副校長が謝辞の中で

「これから、新しい学校に生まれ変わる予感がしました。」と

締めくくってくれた


会を終え、控え室に向かう間にも

松尾先生が、手応えを感じてくださっていたのが伝わって来た

批判的な集まりでの講演で

身構えていたところもあったが

先生方から、切実な真思いが伝わってきて良かったです

とおっしゃった


その後、控え室には

研究推進委員長と三つの部の部長が集まり

松尾先生を囲んで打ち解けた感じで討議が続いた

この、長たちでさえ、自分たちの進む方向が見えず

とても不安そうだったのが

何か、面白くなりそうだという

ワクワク感に包まれていた


その様子を見て、ああ、この凄まじいタイミングで

松尾先生をお呼びしたことには

大きな意味があったな、と思った


松尾先生が帰られた後、

委員長が、実際の子供の姿が見て見たいですよね、と言うので

今度はこちらから見に行ったらいいよ

今年は、そういうことを何でも試す年にしたいんだ

と話したら、それは、面白そう!という表情になった