フィッシャーマン、彼がその名前を初めて聞いたのは2か月前のことだった。これからこの人物が自分の人生を揺り動かす事になる様な気が健二にはしてならなかった。美墨の手帳は黒い革張りの手帳でかなりの厚さがありずっしりと重かった。ざっとページをめくると彼にはその意味するところが何故か瞬時に判った様な気がした。アインシュタイン理論では説明がつかないアインシュタイン理論を越えた理論。そうそこには

ブラックホールの作り方が詳細に記載されていた。ブラックホールをこの地球上で形成させ、そのブラックホールを利用して高次元世界を顕在化させるというのが究極の目的であった。健二はすでにハルピンの研究所で人間の意識を加速器にて高次元の世界に移動させる実験にほぼ成功していた。この研究とフィッシャーマン理論を結合させれば次元のコントロールが可能になるはずであった・・・・しばらく健二はむさぼるように美墨の手帳を読んでいた・・・「すみません。奥さん・・・つい夢中になってしまって・・しばらくこの手帳を貸していただけないでしょうか?」色白の彼女は頬をほのかに染めて言った。「主人からその手帳は丹羽教授に渡して欲しいと言われていました。私が持っていても仕方ないものですから・・・ただ最後のページに気になる事が・・・」健二は最後のページを開けてみた、そこには震える様な字体でこう書かれていた。「丹羽教授・・・僕は先に次元を超えます・・・丹羽教授が来られるのを待っています・・・僕は中国人を何千人と殺してしまった。この罪の重さに耐えられなかった・・・・次元を超えてすべてを精算させます。」