三年後

時は1943年を迎えようとしていた。健二はハルピンの研究所に戻り研究を完成させた。しかし、美墨の時と決定的に違ったのは、完全に日本帝国軍の監視の下に研究が進められたと言う点であった。また、健二のそばにはいつも原田がいた。そしてその日は来た。第一回目の公開実験である。あいにく朝から激しい雨が降り雷が鳴っていた。公開実験には帝国軍の幹部はもちろん原田とあの白髪の老人も列席していた。後で健二は知らされる事になるのだが、その老人は日本のフィクサーと呼ばれている人物であり、ナチスドイツの秘密結社にも所属している人物であった。名前は財膳と名乗っていた。財膳は言った。「それでは丹羽教授始めてくれ。」「判りました。」健二は大きくうなずくと加速室のスイッチを押した。同時に被検者である中国人のヘルメットに連結された加速器も作動させた。この2つの加速器が重力のひずみを人口的に生み出し

被検者の次元移動を可能とさせていた。ドーム型の加速室は世界最大の大きさを誇り、コントロール室は

加速室に隣接して設置されていた。コントロール室にもその大きく低いうなるような音はビンビン響いてきておりその時間は永遠に続くのではないかと思われるほど長く感じられた。実際には数分の時間ではあったが、被検者は光に包まれそして消え去ってしまった。それは一瞬であった。皆は自分の目を疑った。

「成功です。」健二はつぶやいた。財膳は満足げな表情であった。そして言った。「よし、OKだ。次の段階に進もう・・・・・」