和美の携帯にメールが入った。由美からであった。「明日のPM8時に琢磨さんと一緒に、丹羽教授の部屋に来てもらえますか。大事なお話があります・・・」和美は、やはり昨日の出来事が夢でないことを改めて実感した。丹羽教授は由美のゼミの教授だったので名前は聞いた事があった。琢磨も一緒に?自分の命を狙った人間と?あの琢磨は本当の琢磨なんかじゃなかったのか?、ずいぶん悩んだが決心して琢磨の携帯に電話を入れることにした。しかし、琢磨の携帯は、留守電になっていた・・・和美はしかたなく「明日、大学の正門で待ち合わせをしよう」と伝言を入れた。・・・・そして翌日の大学の正門前・・・・「和美・・・」琢磨だった。「留守電聞いたよ・・・」琢磨の声は震えていた。「昨日のことなんだけど・・・」琢磨が言いかけたが、和美はそれをさえぎった。「とにかく教授の所に行きましょう。何かヒントがあるかも・・・私も今回の件は不思議なことだらけで混乱しているの・・」二人は教授の部屋に向かった。丹羽教授はゼミで心理学を教えていた。部屋は教授専用の建物の2階の一番奥の部屋であった。二人はこの古びた建物に入るのはもちろん初めてだった。スペイン風の建物だと思われるそれは優に建てられてから50年はたっているのではと思われ、壁はつたで一面覆われていた。また、教授の部屋の扉も見るからに古そうでまた立派な作りであった。和美は扉をノックした。扉が開き、由美が現れた。「先輩・・・あ、琢磨さんも一緒ですね・・・良かった。とにかく中に入ってください。」二人は部屋に入った。古い建物の外観とは裏腹に中は以外にきれいに整頓されていて二人は驚いた。丹羽教授は二人に背を向けるように窓際に立っておりパイプをくゆらしていた。「紹介します。こちらは丹羽教授です。」丹羽教授はゆっくり振り返った。白髪で長髪の丹羽教授は黒ぶちのメガネをかけ鼻筋の通ったハーフの様な顔立ちをしていた。見た感じは50歳前半と言う感じであった。「よく来たね。まぁ、二人ともそこのソファに座って・・・」丹羽教授はそう言って自分も反対側のソファに座った。「高塚君もここに座って」教授は由美を隣に座らせた。「さてどこから話したら良いものか・・・」