「和美?」琢磨は幽霊でも見るような顔で言葉を失った。「琢磨!帰ろうここは危険よ!」和美は琢磨に駆け寄り手をつかもうとした。その時「琢磨!殺れ!」と荻原は叫んだ。琢磨の手にはいつのまにかバタフライナイフが握られていた。琢磨は荻原の言葉に反応し和美に向かってバタフライナイフを振り上げた。 「先輩!あぶない!」和美は背中を思いっきり誰かに押され反対側に吹っ飛んだ。「え・・ゆ・由美ちゃん!?」それは和美の後輩の由美だった。「こっちです。逃げてください。」由美は強引に和美の手を取った、和美はつんのめりながら由美に引っ張られた。10メートルほど逃げたその瞬間「パン」と乾いた音がしたかと思うと和美の前方のビルの窓ガラスが、ガシャーンと言う大きな音とともに飛び散った。「ピ・ピストル・・・?まさか・・?」二人は右手に細い路地を見つけそこに逃げ込んだ。さらに細い迷路の様な路地を無我夢中で突っ走った。10分ほど走ったのだろうか、二人は息も絶え絶えだった。「はぁはぁ・・・ゆ・由美ちゃん・・何故、ここが分かったの?はぁはぁ・・あなたも覚醒しているんだ?」由美も和美もひざに手をやり下を向きながら呼吸を整えるのが精一杯だった。「せ・先輩・・・お話ししなくっちゃいけない事があります。」由美は言った。でもこの世界ではお話できません。戻りましょう。由美は路地裏の突き当たりのビルの扉を開けた。幸い追っ手はなかった様だった。暗黒の闇の中にドアからの光が差した。