次に琢磨が目を覚ました時には荻原はライブを済ませて、帰り支度をしているところだった。「おやおや、目が覚めた様だね、こちらの世界に着たばかりの時はなかなか馴染めないために時々意識を失うことがあるんだ。まあ、すぐに慣れるさ・・・」荻原はフェンダーのテレキャスターデラックスをハードケースにしまいながらそう言った。「ところで肝心なことを言わなきゃな・・よく聞いてくれよ。」荻原は話を続けた。「簡単に言うと・・まぁ簡単には言い難いんだが・・・この世界は君がいた世界と少し違う。」荻原はくしゃくしゃになったマルボロを取り出し火をつけた。一口吸い込んで大きくはいた。「デカルトって知っているよね。我思うゆえに我ありと言うやつだよ。この世界はその我の世界、君たちの世界は我ありの世界・・・全然分からないだろ?簡単じゃないんだ。一言じゃヤッパ無理だな、ハハハ悪い悪い」荻原は大げさに腹を抱えて笑った。「まぁいいや、お前にお願いしたい事がある。この世界を支配している者がいる。そいつは本当は実体が無いんだが、今は君の愛する人の姿をしている。惑わされるな、そいつを殺って欲しい。俺の言っている意味が分かるか?」荻原は琢磨に顔を近づけそう言った。琢磨は何故か、本当に何故か分からなかったが、荻原の言っていることが理解できた様な気がし思わずこう言っていた。「分かってます。荻原さん・・・・」