和美は自慢のパーカーナイトフライをポリトーンのアンプにジャックインし小さな音量で軽く爪弾いた。心地よいサウンドが彼女の心を包み和美は昨年の夏に琢磨と訪れたあのバリのことを思い出していた・・・・・・・「琢磨、このホテルさー断崖絶壁に建ってるんだ、見てみなよ、怖いね!・・・」「本当だ、ここから落ちたらあの世行きだね?俺は高所恐怖症だからだめなんだよこうゆうの・・」と言いながら冗談っぽく目を回した。二人は部屋に戻り、ベッドに横になった。和美は言った。「なんか、開放的な気分になるね?日本でいろんな事に縛られている自分が何なのか?って思わない?」琢磨は答えた「そうだよね、人は気持ちの持ち方次第でどうにでも変わるんだと思うよ・・・俺は自由になりたいっていつも考えているよ・・・何者にも縛られない・・・俺はこの世界をコントロールしている奴が誰なのか・・・そいつの実体を暴きたい・・・ってね・・・」「冗談、冗談俺の好きなバンドの有名な歌の歌詞なんだけどね、」和美は琢磨の言葉を思い出し、ハッとした。琢磨が危ない!和美はパーカーナイトフライをギタースタンドに戻し、マンションを飛び出した。