月のない夜が好き
真っ暗なわたしは
誰にも気付かれないから
海の底が好き
真っ暗なわたしは
誰の目にもふれないから
昼間のわたしは笑っちゃう
薄っぺらくて
ぎこちなくて
クズのように溶け込んで
月の裏側が好き
真っ暗なわたしの
確かな居場所だから
青も雲も流れ星も
瞼の裏に
あればいい
慈悲も憐れみも
壁の向こうに
あればいい
おだやかに
おだやかに
さざ波ひとつ起こさず
どこにもかからず
遠くの陽炎
声もふさいで
なにものでもない
真っ暗なわたしは
わたしすら知らない
いびつな擬態