ぎゅうぎゅうとまではいかないが
満員状態と言っていい通勤電車の中
込み合う人の流れに押し出されて、
目の前に、栗毛色の髪が印象的なねぇちゃん
という位置関係になった
少し背が低いねぇちゃん、頭がちょうど胸の位置で
なかなか、おやおや、まぁまぁな感じだ
(どんな感じやねん)
その位置関係のまま、電車は目的の駅へ到着
するとねぇちゃんも一緒に降りていく
「追跡しましょうか」
「そうだな、無理のない範囲で」
頭の中で様々な思念が会話する
「前方エスカレーター、目標補足」
「あまり近づき過ぎず、へんに思われない距離を保て」
「よーそろー!」
間に二人ほどはさんだ距離で、
ねぇちゃんの後ろからエスカレーターに乗る
「目標、ロスト、見失いました」
エスカレーターを降り、最初のコーナーを曲がった瞬間
ねぇちゃんを見失った
「アイボールセンサー、反応は?」
「ノージョイ、反応なし」
「ただちにピンガーを放て」
「全周ですか?」
「もちろん、全周だ!」
「感なし、完全に失探しました」
「変温層の下にでも潜ったんでしょうか」
「アホか、ここはただの駅の構内だ」
「目標再探知!斜め前方、デカいオッサンに隠れていました」
「あれか・・・・あれじゃ確かに見失うはずだ」
「追跡、続けますか?」
「もちろんだ、デカいオッサンをかわして、左後方に占位する」
「よーそろー!」
「変温層ではなかったようですね」
「お前はしゃべるな」
「あっ!こ、これは・・・」
「どーした?」
「ね、ねぇちゃん、あ、あたまが・・」
「頭がなんだ?」
「頭が・・・・まぁまぁデカいです・・」
「なにっ!!脳みそか?、頭蓋骨か?」
「あれは・・頭蓋骨です」
「そっかぁ・・頭蓋骨かぁ・・」
「そういや、昔、頭蓋骨厚めのねぇちゃんに腕枕した時
尋常じゃないくらい、腕が痺れたことありましたね・・」
「あったね・・」
「あっ、目標、左に曲がりました、目的地と逆方向です」
「追尾、どうしますか?」
「しょうがない・・追跡はここまでにしよう」
「よーそろー」
「よし、じゃぁ最後に、もう一度全周にピンガーを放て!」
「さすがに意味不明です、俺」
さよならねぇちゃん、
いつかまた、会える日まで・・
今朝もまた、現実と妄想のはざまで・・
いつもの通勤時の風景・・