ドライアイスの剣 | 不羈独立

不羈独立

te amo in aeternum i non dimittet vos

傷つけてしまうこと

 

わかっていた

 

もしかしたら

 

その命さえ

 

奪いかねないことも

 

 


全てに背を向け

 

一人、歩き続けるべきだった

 

自身の心を凍らせ

 

他者のぬくもりにふれず

 

 


穏やかな陽光

 

優しくそよぐ風

 

ずっとずっと深い場所に

 

凍りついた剣を隠したまま

 

 


見えない磁力で引き合うように

 

想いにひかれ

 

この世界に足を踏みいれたあなた

 

 


零れる程の愛しい想い

 

溢れる程の切なき想い

 

もっと

 

もっと深く

 

 

 

気がつけば


心の奥深く

 

凍った剣の切っ先で貫かれ

 

冷たく横たわるあなた

 

 


凍った心で冷たく見下ろす自分

 

悲しみ泣き叫ぶ

 

もう一人の自分すら凍らせて

 

 

 

小さく鋭い

 

胸の痛みまで凍ってしまわぬ前に

 

 


せめて

 

同じ切っ先で

 

自分の胸を貫いてしまおう

 

 


刃をつたい

 

剣を握りしめた拳をつたい

 

滴り落ちた血の

 

かすかなぬくもりで

 

あなたが元の世界に戻れるのなら

 

 


傷口も

 

想いも

 

心も

 

すべて凍らせてしまえば

 

 


硬質な闇の世界

 

きっと一人で歩いていけるだろう

 

 

 

ずっとずっと奥深く

 

ドライアイスの剣が眠る

 

心の故郷まで