なんでも知っている偉い人が言った
「お前に道を教えよう」
なんでも知っている頭のいい人が言った
「お前にルールを教えよう」
なんでも知っている強い人が言った
「お前のレールを引いてやろう」
なんでも知っている優しい人が言った
「お前の心すべてを委ねよ」
なんでも知っている皆が言う
「間違いを正してあげよう」
「救ってあげよう」
「さあ、この正しき道を歩こう」
「我らと同じように」
「皆と同じように」
ありがとう
本当にありがとう
でも、ぼくは
取るに足らない
ちっぽけなぼくは
無知でなにもできなくても
誰の役にも立たなくても
行き先は
自分自身で決めていく
道に迷おうが
谷底に落ちようが
砂漠で干からびようが
荒波の中でもがこうが
決して
ココロだけは縛られず
「常識」という力が支配する
この素晴らしき世界の中
なんでも知っているすべての人たちに
笑われても
けなされても
すべてを敵に回しても
決して
ココロだけは縛られず
ミチビキなんていらない
レールなんかもいらない
ちっぽけな自分の
疲れた足と
折れた翼で
自由な意思のままに
前に進み続けてゆく
なぜなら
ぼくの世界のことだけは
なんでも知っている誰よりも
ぼくが一番知っているのだから