『ガイガーカウンターでは被曝量は測れない』の記事の本当の目的
本来、マスメディアの報道というものは、記者や出版社としての利益や主観は交えずに、客観的に事実のみを伝えるべきと思います。
大手メディアが電力会社との癒着で機能していない現在、雑誌媒体にはより真実を報道する姿勢を持っていただきたいと思います。
有名出版社のとある週刊誌の『知っていましたか?ガイガーカウンターでは被曝量は測れない』という記事を読みました。「安物のGM計数管使って測り方も間違い」「無知な者が危険を煽るために用いれば、害にしかならない」「外国製の粗悪品はセンサー自体も取り替えが必要な消耗品でとても壊れやすい。空輸する際に壊れてしまうことも多い」「行政のモニタリングポストなどはシンチレーション式で、少なくとも素人がGM管で測った値よりは信用できる。1回30秒間を5回繰り返して行ない、平均値を出している」
そして”煽り派”は「放射能をバラ撒いた東電以上に国を悪くしている」と締めくくっています。
結局『いいから国や政府が発表することをお前たち庶民は鵜呑みにしてりゃいいんだよ』という事なんでしょうか。
【反論】
■シンチレーション式は30秒では正しい計測値に上がり切る前に計る事になります。つまり低い値になります。それを5回繰り返したとしても同じことです。我々は普段使っているBS2010は普段、放射線管理区域にいる人間が高い濃度を計測した時にすばやく被曝回避できるように早めに計測できるようになっています。日本製のシンチとも比べましたが倍以上に早く高い値を感知して警告音を鳴らします。でも、そのBS2010でも1分程度しないと上がりきった数値は計れません。
■ガイガーカウンター(GM計数管)が計測しているのは放射線の数であり、シーベルトは予測値というのは正しいです。でもシンチレーションカウンターも同様ですけど。なぜシンチは正しくてガイガーは粗悪、という構造になるのでしょう?シンチレーション式は日本製がほとんどでGM管は外国製であるという図式も根底にあると思われます。
■「ベータ線を測ってしまうGM管方式は空間線量の計測には向かない」「GM管方式はベクレルは測れるがシーベルトは測れない」など誤情報が含まれています。原発由来の人口放射線と自然放射線源とのおおきな違いは、ベータ線量の値です。ベータ線を計測しない国のやり方は数値を低く出そうとしているように思えてなりません。
■『GM管は放射性物質が付着しているかどうかを調べるもので、空間線量を測るための機器ではない。空間線量を測りたければシンチレーション検出器が必要』ならば、我々が行っている地表の放射線量測定はGM管でよろしいということになります。
■記事のタイトルである「ガイガーカウンターでは被曝量は測れない」自体、当たり前のことです。例えばガイガーカウンターをノドにかざしても甲状腺に溜まったヨウ素の量は計れません。それはシンチレーション式でも「被曝量は測れない」のは同じこと。甲状腺内部被ばくで問題となるのはベータ線です。シンチで計ってもガンマ線の量から予測となります。野菜や魚にかざしてもガイガーカウンターでは被曝量はわかりません。だからガイガーカウンターが使えない、と強引に誘導しているように感じます。
■『GM管には使用による劣化や、ガスを密封した構造であることから、少しでも漏れれぱ数値は狂うし、漏れなくとも検知能力は次第に低下していく。蛍光灯を連想してもらうとわかりやすい』。確かにガイガーカウンターは定期的に校正を受けるべき機器と思います。ただ入手してから1年以内の新品でしたら来年あたりまで問題なく正確な測定ができると思われます。蛍光灯も買った当初は問題ないですよね。それを最初から壊れてるかもしれない粗悪品ばかりと決め付けているあたり誘導している臭いがプンプンです。
その雑誌の過去の記事を読んでみると「なるほど」と…
■「風力なら原発40基分の発電可能」を専門家が批判
■放射能測定器 現場では10万円以下の外国製はおもちゃ扱い
■孫正義氏の「原発の発電コストは一番安い」説に疑問抱く
■放射線と同レベルの健康への危険 日焼けマシンやタバコ
■1960年代の日本 自然放射線による被曝は今より高いとの報告
■自然放射線の多いブラジル・ガラパリ 日本の6倍以上ある
■宇宙飛行士 宇宙半年滞在で原発事故処理職員より多く被爆
■新宿での被爆量 日本平均値の約半分、世界平均の三分の一
■ヨウ素131による甲状腺がん 40歳以上は心配しなくていい
自然放射能と人口放射能をごっちゃにして「ああ、なるほど」と思わせ、なんとなく先導していきたい方向が読めてきます。
放射能、安全安心なんですよ~。お国を信じましょうねって。それがマスメディアの姿勢なんでしょうか?
調べてみるとその週刊誌を発行している出版社は女性誌も発行しており
■内部被曝抑えるには、ほうれんそうなど葉ものや小魚を食べる
■地表1cmの放射線量は、厚さ2cmの土をかぶせるだけで68% 放射能はこんな手段でも着実に減る
との記事が。
ほうれん草もスーパーで探しても東京じゃ北関東や福島県産ばかりだし、小魚も生物濃縮ではまず先に放射性物質を取り込むことも知られています。さすがですね。そして表土と削り取る、ではなく覆いかぶせろ、と指導するあたりは他の場所に移すな、という政府の指針にも沿っていて見事です(実際、福島では雨どいの下や側溝は土の処分先が決まっていないという理由で、できるだけそのままにとのお達しが出ています)。
そして、これも同じ出版社が発行する情報誌は、あのトンデモ推進派御用文化人の池田信夫氏を起用してこんな記事を…
『最悪の事態は防げたという意味で、よく現場は原発をコントロールしていると言える。
人類は原発を安全にコントロールする知恵と技術は本来持っているのである』
わかりました。有難うございます。