アスミック・グレゴリアン主演の「マノン・レスコー」をStreaming鑑賞しました
今回はRobert Carsenの2005年版の演出のリバイバル、さて最近大活躍の美女アスミック・グレゴリアンはどんなファムファタルぶりを見せてくれるでしょうか・・・
- マノン・レスコー:Asmik Grigorian
2幕はマノンが税金の取り立てを生業とする金持ちのジェロンテの妾となって贅沢な生活を謳歌しているところで始まります。ペントハウス風のセットのカウチでくつろぎ、豪華なドレスとヘアメイクを施して着飾った姿はさすがの美しさです。
(グレゴリアンの性質かもしれませんが)贅沢を極めたマノンが「贅沢にも飽きてしまった、かつての愛が懐かしい」と歌う悲しげな姿は、マスネの「マノン」で自分のことを忘れてしまったというデ・グリューの噂を聞いて(まるでおもちゃをとられた子供のように)取り戻しに行く姿と比べると、だいぶ大人っぽく感じました。
3幕ではデ・グリューとあっているところをジェロンテに目撃されたマノンが、ジェロンテの訴えによって捕縛されて流刑先のアメリカでデ・グリューに看取られながら生き絶えるのですが・・・もちろん憐れで感動的ではあったのですが、全体を通して2幕の美女っぷりが最も強く印象に残りました
- デ・グリュー:Brian Jagde
一瞬テノールなのと思うくらい力強くて重さがある歌声でした。
華やかで甘いテノールが好きな方にはハマらないかも(?)
今シーズンはMETでのTOSCAのカヴァラドッシ、蝶々夫人のピンカートンが控えています(link)。
- レスコー:Boris Pinkhasovich
歌もさることながら、常にビール片手にジェロンテとデ・グリューの間で自分の利益を狙うような、レスコーの憎めない小物感を纏った舞台姿が最高
実は「スペードの女王」で魅力的なプリンス・イェレツキーを演じていたのと同じ方なのですが、このブログを書くまで全く気がつきませんでした・・・。
演出は、ファッションがフィーチャーされた、オシャレで現代的な置き換え演出です。
1幕でマノンがデグリューと出会う宿屋は、ファッションモールの中の高級ホテルに置きかえ。
2幕のジェロンテの妾宅にはたくさんのドレス。
3幕で流刑地に送られる囚人の点呼のシーンは、オートクチュールに身を包んだモデルが囚人役となり、ファッションショーのランウェイ状態です。
しかも流刑地のアメリカは1幕のファッションモールと同じセットで、ここでマノンは水が欲しいと言いながら息を引き取ります。
・・・パパ活的なモノへの(女性が男性を利用しているようで、利用されて苦しんでいるという)批判・皮肉なんでしょうか
なんともウィーンらしい、という印象でした
さて今週は「死の都」ですねこちらもまだ見ていないので楽しみです
【おすすめ度】
星4つかな?
【歌手】
- アスミックの美女ぶりを堪能、ただマノンっぽくはないかな?
- その他の歌手も実力派で役にあっている
【演出】
- 美しいセット&演出でウィーンらしい。
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Manon Lescaut – Asmik Grigorian
Lescaut – Boris Pinkhasovich
Chevalier des Grieux – Brian Jagde
Edmondo / Dance Master / Lamplighter – Josh Lovell
Geronte di Ravoir – Artyom Wasnetsov
Innkeeper – Marcus Pelz
Sergeant – Ilja Kazakov