カウンセリングって一体

なにをするの? と、常々

疑問に思っている方も多いことでしょう。

 

もちろん、クライアント(来談者)が

悩んでいることの話をするとか、

それをカウンセラーがしっかり聴く(傾聴)、

共感・理解してくれる、といったことは

ご存じかも知れません。

 

カウンセリングは非常に複雑な

プロセスで、簡単に説明するのは

難しいのですが、今回はその一つ

「修正感情体験(corrective emotional

experience)」について説明したいと

思います。

 

これは精神分析の一派、

自己心理学(コフート派)の用語です。

 

人はたいてい育ってくる間の

人間関係で(主には親などとの)

「こうしてほしかったのに、そうされなかった」

や、「傷つけられた」といった体験を

抱えたまま生きてきています。

 

カウンセリングにおいて

過去を話して行くとき

(それは、ある程度関係ができて

からですが)、こうした過去の

「そうあるべきでなかった」ことが

浮上してきます。

 

これはカウンセラーリードというよりは

なにかのきっかけでクライアント

の方から話してくれる、というのが

理想的です。

 

刻々と移り変わっていく

クライアントの心境に共感しつつ

追随しているカウンセラーは、

そうした出来事や感情(またはその欠如)

を察知します。

そして、最初の関係(親などとの)とは

違うように答え(応え)ます。

 

つまりは、答えがなかったようなとき

(ネグレクトなど)には答えるように、

冷たかったときには暖かく、

乱暴だった場合には優しく、

といった具合です。

 

または、その体験をしたときに

相手の人(親など)にどうして

もらいたかったのか、という話を

してもらうことが

「修正」になることもあります。

 

このようにして傷ついた自分の

部分を癒やしていくのです。

 

人は、癒やされないと同じような

体験を繰り返してしまうことが

多いですが、

こうして「修正」していくことで

そうした繰り返しをする必要も

なくなっていきます。

 

つまりはこころのあり方や

生き方、出会う人や体験なども

変わって行くのです。

 

不思議に思われるかもしれませんが、

実際にそういうものなのです。

 

まずできるだけ正直に

話してもらうということが前提に

なりますが、そのためにできるだけ

話しやすい、安全な「空間」を

作っていくのもカウンセラーの

役割です。



※本文中に書き損ないましたが、

修正感情体験のような作業は

いきなりできるものではありません。

まず信頼できる関係や構造を

作り(作業同盟などと言われますが)、

その中で行うもののため、

短時間や1回きりでできるような

ものではありません。