夏の午後。
空はまだ青く、太陽は高い。
その太陽の日差しが届かない陰に
涼しくて優しい風が吹いている。
その風は木々をゆさゆさと揺らながら、
自分の体を包み込む。
そんな風に吹かれながら
髪をなびかせ読書をする。
あまりに気持ちよくなって目を閉じると
風で揺れた木々の音が、
裏の畑のビニールシートが、
空中を飛ぶ虫の羽の音が、
近くで流れる川の流れが、
遠くで聞こえる人の声が、
いろんな音がまるで交響曲のように
自分の耳に届いてくる。
太陽の光や空気でさえ、
音を持っているかのように感じる………。
目を開ける。
空はほんの少し青さが薄まり
太陽は少し傾いてきている。
隣には気持ち良さそうに目を
閉じた白い犬が前足をちょこんとクロスさせて
行儀良さそうに寝ている。
そこにヒグラシの鳴き声が
ゆるやかな時間が流れる田舎に
夕暮れを知らすかのように響き渡る…。
その合図を体いっぱいに吸い込むように深呼吸する。
草花や山の木がある田舎の夕方の匂いが
鼻を通して体全体に巡る。
しばらく余韻に浸り、
膝の上に置かれた本を開き、
再び読書を始める…。
風が強く吹く。
ページがペラペラと勝手に捲れる。
元のページに戻る。
また風が強く吹く。
元のページに戻る。
また風が強く吹く。
また元のページに戻る。
また風が強く吹く。
もうあきらめて家の中に入る…。
日が完全に暮れ、
辺りに闇が訪れると
空には様々な光が現れる。
澄んだ空気を突き抜けるように
夏の夜空に浮かぶ星たちの光が地上に届く。
その光をじっと見つめていると
ぱっと見ただけでは気付かないような
弱い光の星屑が目に捉えられるようになる。
夢中になって見つめていると
シュッと空を駆ける素早い光。
頑張って3回願いを口に出す。
きっと間に合ってない。
あまりに長い時間目線を
真上に向けていた為に
首が痛くなってきて
あきらめて家の中に入る…。
なんて贅沢な時間でしょう!笑