「臭っ!
」
思わず口に出してしまう所で思い止まった。
それは、今日の仕事の帰りの電車の事だった。
車内はそれ程混みあってはいなかったが空席は無く、いつものごとく扉横をキープした。
その瞬間に俺の鼻を強烈な悪臭がつんざいた…
恐らくは俺の横(扉に一番近い所)に座ってるオジサンの臭い。
例えるなら、1ヶ月以上風呂に入っていない人の臭いだ。
見た所は、清潔には見えないが、浮浪者の様な身なりでもない。
でも、これ程の体臭(?)は初めてだ。
同僚と一緒だったが、同僚は気づいていたのだろうか?
同僚と話をしながらも、臭いが気になって会話は耳に入らない。
場所を移動してもよかったのだが、その内慣れるかと思ってそこに立ち続けた。
けれど一向に臭いは治まらず、より一層俺の鼻を刺激してくる。
大きく息を吸う事さえままならない…
俺の香水の匂いの染み付いたマフラーに鼻まで潜らせるが、その悪臭は香水の匂いをも凌駕していた。
三宮に着くまでの20分少々…永遠に続くかの様に長く感じた。
そしてついに到着。
急いで電車を降りて、深呼吸をした。
決して綺麗とは言えない地下鉄のホームの空気だったが、それでも妙に心地良かった。
そのオジサンもホームに降りた。
俺はそのオジサンを一瞥し、心の中で呟いた…
「おっちゃん…今日は風呂入りなよ…
」
意外にも、その心の呟きは苦しみからの解放感からか、「怒り」ではなく「優しさ」にも似た感情がこもっていた。
~おわり~
体重【86.0】kg
体脂肪率【27.7】%