長野県諏訪郡原村の

八ケ岳農場の

通称「御柱街道」の北側の

2反歩ばかりの畑には


おそらくこの農業学校の

生徒たちが実習で学ぶために

栽培したとうもろこしの畑があった


いかにも学びながら栽培したような

ていねいでありながら

どこかぎこちないような畝の中に

とうもろこしが30㎝位に成長していた


私はその道路脇に車をとめて

そのとうもろこし畑を見るために

畑の近くまで歩いて行った


何か参考になるところがあるかもしれないと思い

その畑の脇の小さい農道を

歩いていくと その畑の北側の林の一角に

林の切れた開かれた部分があり


その草地の向こうに

もっと成長したとうもろこしの蒼い蒼い葉と

雄花の上の部分だけが見えた


「おかしい この時期に

こんなに成長したとうもろこし畑があるはずはないー」

と思いながら それを確かめたくて

体は自然にその林の向こうの畑めざして歩いていた


少しずつ林の向こうの畑が見えてきた

もう少しで実が付くほどに成長した

この時期でここら辺ではありえないとうもろこしの畑が

3町歩程 延々と広がっていた


数万 数十万のとうもろこしの葉が

陽の光を反射し

風になびいていた

「サワ サワ サワサワサワーーーー」

となびいていた


私は自分が以前から

このとうもろこしの葉の哲学的な光の波が

好きだったのを思い出していた


しかしそこで引き返すべきだったのかもしれない

しかし私は 夢遊病者のように

その何町歩もの広大なとうもろこしの畑の中に

風に導かれるように迷い込んでいた


そしてその畑の向こうに

又帯状の林があり

その一角に林の切れたところがあり

その草地の向こうに

またとうもろこしの蒼い蒼い葉のうねりが見えていて


私はまたそこに向かって歩いていたー