2015年が始まって、はや12ヶ月

こんなに長くブログを放置した事は初めてでした。

一度は書き上げて、でも消してしまった感想日記メモ

やっぱり2015年といえば、ミュージカル『エリザベート』でした。

ここからは、きわめて個人的な意見です。ご了承くださいm(u_u)m


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エリザベート役に蘭乃はなさん…

そして全体的な若返りキャスト

衝撃と共に受け止められた、この度の東宝版『エリザベート』でした。

蘭乃さんは退団3日後に声がかかりオーディションで選ばれました。


東宝版『エリザベート』は新演出になり、舞台装置、衣装、演出

すべてが変わりました。

一番の変化は演出です。


以前は元男役が演じる「エリザベート」が主役

座長公演だったと思います。

物語の つじつまの合わない部分もトップスターの腕力で成り立たせ

共演者も素晴らしく、その相乗効果で舞台が盛り上がっていました。


しかし、今回の演出からは…

出演者のファンイベントでのお話によると、、、

エリザベートが主役でタイトルロールだけど

エリザベートとトートとルキーニ…この3人を主役にした演出


エリザベートが主役として存在すれば より際立ち、物語は映えるけど

もし主役が成り立たなくても、他の要素でカバーできる、

…結果的にそんな印象が残りました。

トートのダンスは増えて、ルキーニの出番も増えました。

舞台には巨大な箱が3つ備えられ、その箱を降りたり上がったり…

窮屈感と共に目線が登場人物にいくような効果もあったと思います。


トートという存在はエリザベートの内面を具現化した存在だとすると

エリザベートとトートは2人で1人


宝塚版はトート側から見たエリザベートの人生

東宝版はエリザベート側から見たエリザベートの人生

究極の自己愛の物語なのだなと、思いました。


そんな新演出の主役として抜擢されたのが、蘭乃はなさん

結論からいうと、この度の新演出の東宝エリザベートは

蘭乃さん及びこれからの宝塚OGが演じるための演出だと思いました。


出演者の大半は20代後半のキャスト

アンサンブル出演者には蘭乃さんと宝塚同期が2人いましたし

すべてが揃っていて、あとは本人次第、、、


蘭乃さんのエリザベートは初日、6月、7月、千秋楽と計4回見ました。

一番良かったのは初日でした。

初日は文字通り、タイトルロールの「エリザベート」でした。

歌声も伸びやかで竹を割ったような しなやかさとパワーが漲り

男性の共演者とも良い具合に噛みあい

宝塚版でしっかり根付いた役作りに東宝版の要素も取り入れ

自我を前面にだしてイキイキと躍動していました。


正直、宝塚時代の蘭乃さんは花總さんと似ている印象が強く

実際、宝塚版エリザでもそういう意見を雑誌でも読んだりしたので

そこが一番の懸念材料でしたが

宝塚退団と同時に鮮やかに脱ぎ捨てた、お見事な転身でした。


が、、、ピークはすぐさま過ぎ去り 


初日から数日後には歌が不安定になっていきました。

6月後半に観に行った時には一幕は歌が裏返り、二幕から盛り返す

7月は一幕、二幕、すべての歌が裏返り壊滅状態 

8月にはいってから歌唱方法を宝塚の娘役のような裏声に変えて

ようやく歌の裏返りが落ち着き、どうにか千秋楽を迎えたのでした。

千秋楽はその日々を象徴するかの様な強い表情になっていました。


蘭乃さんの歌声は声質が太く

同じ歌の中で音域が変わっても声質が変わらない強さがありました。

宝塚時代の娘役裏声歌唱では こもったような声の印象でしたが

退団後の地声の方が しっかりしていてミュージカル向けだなと

だから選ばれたのかな、と思いました。

しかし、一方、宝塚時代から指摘されていた事ですが

一定したコンディション調整が出来ていない面がある。

耐久力がなくて、良い日と悪い日が如実に分かってしまう。

これは完全に東宝サイドのリサーチ不足だと思います。


宝塚時代は周りのフォローや自力で乗り越えられた部分が

外部の本格的なミュージカルでは如実に表れてしまい

自分の中のイメージでは歌えてるはずなのに、制御できない

とんでもない部分で裏返る

周りの歌唱が凄い中で、主役だけが別の意味で目立ってしまう

そんな不安定な3ヶ月であったと思います。


「エリザベート」が主役でしたが

ミュージカル「ハプスブルク家の悲劇」のヒロイン:エリザベートとして

群集劇のような雰囲気でした。

井上芳雄トートの日は、相手役として支えつつ要所はトートが魅せる

城田優トートの日は、トートが主役に見える


カンパニー全体、すべての動きが しっかり演出されていて

女官達はエリザベートの前に立ちふさがり

ゾフィは容赦なく迫る


蘭乃さん自身も懸命にエリザベートを演じていましたし

脚本に描かれる場面表現が しっかり身に付いていたので

嬉しい時、怒っている時、悲しい時、

場面ごとのコントラストがしっかりしていました。

エリザベートという人物像の不安定なイメージにも助けられ

その歌唱も役の個性の一部として評価する人もいました。


エリザベートだったからOKでしたが

別の作品のヒロインだったら完全にアウトだったと思います(^_^;)


元男役さんが演じるエリザベートはトップならではの孤高さが

周囲から孤立し彷徨う魂にリンクしていたの思うのですが

蘭乃さんは等身大の庶民的な女性像として

あの女性が嫁いてきてから家がメチャクチャになった、という

ホームドラマのような分かりやすいキャラクターでした。


そもそも新演出自体に違和感をもっている人にとっては

Wキャストの花總さんは比較的安定したコンディションでしたが

むしろ、その安定感が面白くない、と

蘭乃さんの歌を含めた不安定さこそがエリザベートらしいだと

ツイッターでは揶揄する人もいました ( ̄_ ̄ i)

そんな意見を見ると悲しくなってしまって

今まで頑張ってた元男役さん達の努力はどうなるのかと

皇后らしくない女性の役ならば、もうトップ経験者でなくてもよいし

むしろ、宝塚OGでなくてもよいのでは?とすら思いました。


そんなこんなで、賛否両論のエリザベートでしたが

来年も再演が決定しています。

東宝さん的にはスムーズに続投させる予定が

この想定外の乱調で一旦は白紙でしょう (;´▽`A``

でも宝塚OGに限られた役であり、男役OGが断ったら

続投するだろうな~と思います。


来年は日本初演から20周年だし、どうなるのでしょうか

去年キャストが発表されたのは12月15日でした

きっと、今回も人選が難航している事でしょう (^▽^;)

発表が気になります。