夏休み
赤様は 一歳の誕生日が過ぎて
初めての夏休みを体験した
渋滞の中 スヤスヤ眠る赤様を
乗せて初めての遠出に試みた
行き先は 私の地元まで
ママ会の友人達は赤様を連れて
九州や北海道と帰省を試みている
電車や飛行機を乗り継いで
アッパレだわ
関東にある実家でさえも
赤様付きの私には
充分とハラハラな遠出だ…
秋には初めての旅に出る
その予行練習を兼ねての
出産後の初めての帰省になる
なんだか 沢山の人に会って
抱いてもらって 笑わせてもらって
あやしてもらったように思える
そして みんな笑顔で
幸せそうだった
出産して 何を一番感じたかと言うと
私達夫婦と関わり支えてくれてる
人がこんなにもいるのだ
と言うことだ
いつでも 人生の転機には
自分の周りの
人達に感謝が溢れる
ありがたいなぁ~って
心から思える瞬間なんだ
赤様はというと
どこへ連れて行っても
なかなかのマイペースで
スーパーハイハイで
つかまり立ちを
できる場所を捜しては
ヨレヨレと立ち上がり不安定に
膝を曲げたり伸ばしたりを
繰り返して地道に筋トレをする
大人達は身長3分の1の不安定さに
ハラハラと動き回り振り回される
それでも お喋りな女達は
赤様の動きに振り回されながらも
しっかりと口を動かすことは
忘れない
逢えなかった数年分の言葉を発し
赤様の動きを把握しながらも
器用にも話し続けるのだ
夏休みと言えば
ご先祖様のお迎えが
長男である父を
もつ家族の使命だ
家族でゾロゾロと実家から
数キロ離れた父の育った
故郷までのドライブ
3塔に分かれたお墓全てに
お線香を置き 一つ一つの墓石に
手を合わせ 提灯に火を灯す
実家にある仏壇まで火を消さずに
ご先祖様ご一行様をお連れするのが
墓守りも使命なのだ
提灯に灯された火を消してしまうと
ご先祖様が迷ってしまうから
決して 火を消してはならないよ
と、祖父や祖母や叔父さんや叔母さんに遠い昔に言われたことが
とても 懐かしい思い出だ
幼かった私達子供は
真剣に緊張の中
提灯が消えぬよう
親戚一同の先頭を歩きながら
ドキドキハラハラと
暑い道のり歩いたのだ
緊張感を タップリと
味わった使命を終えた後には
親戚一同の宴会が始まるのが
お盆の行事ごとなのだ
平成の今 その使命は
甥っ子姪っ子達に
託される
そして遠い昔に
私が言われたように
子供達に伝えられる
少しだけ 真剣な顔をして
声色を変えて
提灯の火を
決して 消してはダメよ
ご先祖様ご一行様が道に
迷ってしまうから と
子供達に伝えるのだ
少し緊張した顔をする子供達が
可笑しくてならない
笑いを堪えながら
子供達の反応に 調子に乗った
わたしは
ご先祖様ご一行様
車にお乗り下さ~い と
手を上げて車まで誘導する
大人が真剣にやっていることに
子供達は想像をするのだ
顔も知らない
死んだ人間がゾロゾロと
車に乗り込むことを…
末っ子の甥は 道中 顔が強張って
いたらしい 笑
無事に平成14年度の墓参りの
行事を済ませ
皆で食事をした
夏休みの 楽しかった
疲れを残しながら
静寂で 慌ただしくもある
日常に戻った
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