芥川賞を受賞されたこの作品、最近ようやく読みました。
文章自体はそんなに難しくないのでスラスラと読めます。
2−3時間で読了しました。
コンビニのバイトで生きている時が一番自分が自分でいる、というか、世界の一部として受け入れられると感じて、大学生時代から36歳まで18年間コンビニ店員として生きてきている女性の話。
小さい頃から周りとの違和感を感じ続け、36歳の今も周りの「この子、自分と違う」という異物を見るような視線の中で生きている彼女の生活が淡々と書いてありました。
マイノリティ、って言えるほどのマイノリティじゃない、でも、周りの人間とは確実に違う、という人に出会った時、私だったらその人にどうやって接することができるだろう、と考えさせられました。
私の夫はあるマイノリティのグループがもっと生きやすい社会になるように活動をしているのですが、私もその活動にとても賛成です。
ただ、マイノリティの方と接する時に、私は色々と頭でっかちになってしまうことがあるのです。
例えば、その人のことをもっとよく知りたい、それは好奇心、というよりは、その人がどういうことを快に感じ、不快に感じるのか、ということを知ることで、もっともっとお互いに良いコミュニケーションができると思っているから、なのです。
ただ、相手にとっては、まるで尋問されている、とか、被験体にされている、とかって気持ちになったら不快だろうなーと思うと、どこまで踏み込んでいいのかわからない。
だからと言って、全く彼らの特性に触れることなく世間話みたいな話題だけ話していてはいつまでも、彼らのことを知ることはできないんじゃないか。
他にも、例えば同じマイノリティでも、悩みの内容は様々、な事が多い。ですが、多数派(と自分が思っている人たち)は「マイノリティの悩みテンプレ」みたいなものを勝手に頭の中で作り上げ、彼らの本音を聞くことなく自分の頭で目の前の人を勝手にカテゴライズする、ってことが往々にしてあると思うので(この小説の中でもそのようなくだりがありました)、目の前の人を「ありのまま」受け入れることの難しさもあるよな、と感じてしまうのです。
と、とにかく思考ばかりが頭を巡ってしまうのです。
だから、自分の発言で少しでも傷つくであろう可能性を排除するために、私は心理学やNLP、果ては占星術を勉強することにしているのですが。