ヨーロッパの信用不安の高まりとともに、株価安と円高が深刻な状況になっていますね。。。



某メーカーで海外営業をしていた私は、円高だからと行って「 海外旅行に安く行けるー♪ 」なんて、単純に喜んでいられません。

リーマンショックで一気に円高が進行したとき、それはそれはもう、仕事では苦しめられましたので。。。(´A`∥)



メーカーというのは、純利益率数パーセントの商品を大量生産、すなわち薄利多売して利益を上げています。

そしてその数パーセントの純利益を少しでも上げるために、日々涙ぐましい努力:原価計算を行い、材料を調達し、在庫リスクを考慮し、輸送コストを下げ、製造拠点を移し、技術革新に取り組んでいるのです。


それが、円高で少し円の価値が変わるだけで、一気にパー・・・ぐちゃぐちゃ



私の担当は北アジア&オセアニア地域(中国、香港・マカオ、モンゴル、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド)だったのですが、2008年当時リーマンショックの影響を受け、韓国とニュージーランドは1か月くらいの短期間に4割ほど円が急落しました。


それまでの営業努力が一気に吹き飛び、不可抗力で40%近い赤字となったのです。

純利益はおろか、従業員の人件費(給与)も全部吹っ飛んでしまいました。


だからと言って4割商品の価格を高くすれば、価格競争で確実に負けてしまいます。

逆に、韓国ウォン安のお陰で韓国メーカーは利益が増えるので(裏を返せば、商品価格を4割安く出来る)、サムソンやLG電子、ヒュンダイ自動車などはローコストを実現しつつ、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中で販売シェアを伸ばしているわけです。



日本の名だたるメーカーの、過去最大の赤字発表・株価低迷のニュースが流れていますが、これは日本の製造技術が行き詰っているからとか、企業努力が足りないからではないんですね。

日本企業の国際競争力がなくなってきたからだとは、一概には言えない。

確かに今、ヨーロッパの信用不安が高まり、アメリカ経済も先行き不透明の中、円の信用が相対的に高まってしまうのは当然の成り行きですが、日本経済を支えている製造業が足元をすくわれているにも関わらず、政府が的確な為替施策を打ち出せていないことこそ、最大の問題だと思っています。



仕事を通じて常々日本の外交力の乏しさを実感してきましたが、最近は尚のこと落胆してしまいますね。。。




もし今大学院を休学していなければ、研究発表で書きたいことが沢山あるんだけどな・・・

もとい、仕事を続けていたら、それはそれで大変だったけれども、今以上にいろんなことを考え、頭をフル回転させていたんだろうなぁ。



そう考えると今、天気の悪い昼下がりにTVでニュースを見ているだけの自分に一体何の社会的意味があるんだろうと思わずにはいられません。

ちょっとネガティブだけど。


そんなとこです。