open-memberのブログ

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新規事業プロデューサーが読んでる本をご紹介していきます!!

Amebaでブログを始めよう!
久々の更新となりました、enoです。

晴れて1月から復帰することができました(これも本当に皆さまのお陰です)。
本格的な仕事は4月からの予定なので、今は徐々に体を慣らしているといった状況です。

しかしながら気づかぬ内に疲労は蓄積しているようで、
しばしば体調をくずしております。自覚していないのが少々厄介。

量を以て質を補うような仕事のやり方は当分の間できませんね。

”生産性=アウトプット/インプット=成果物/投下した労力・資本”

と考えると、私は成果物の要件が何なのか、それを明確にすることに多くの時間や労力を割いて、
投下する時間や労力を極小化することに注力せねばならないなと感じています。




この本は上の様なコンセプトに基づいた知的生産法について書かれたものです。
内容は市井でよく見かける論理思考系の本と大きな違いは無いように感じますが、
違う点を挙げるとすれば、他の本よりも課題設定の重要性について紙幅を割いているところでしょうか。

「何をすべきか、要件をとことんまで定義する。無駄な事はしないで要件のクリアに注力する」

と考えてみれば当たり前のことなのですが、知らず知らずのうちにこの要件定義はおざなりになりがちです。

本書のアウトラインは上のプレゼンテーションの通りです。
バリューのある仕事をするための順序として以下のことを説明しています。

①解く前に見極める
 解くべき課題をしっかり定義し、その課題解決の要件を明確にするということです。ゴールをまず明確にしなければ無駄な労力を消費してしまうことは明らかですね。赤坂に向かってほしいのに、港区のあたりへ行ってくれなんて言われたら皆目見当つかないですもんね。

②課題を分解してストーリーラインを組み立てる
 弊社ではタスクブレイクダウン(TBD)とかいったりしています。ある課題があった場合に、その課題を個々のタスクレベルまでMECEに分解していき、課題全体の工数を把握していくものです。それと同様に、課題を、答えの出せる幾つかのサブイシューに分解していって、全体のストーリーラインを組みます。報告書であれば仮の目次ですね。

③絵コンテを考える
 同じ分析結果でも、受け手に伝わり易くするためには見せ方が大事。そのために個々の分析結果をどう見せるかデザインしていきます。分析の本質は比べることであることを念頭に置きつつ、変化を示すなら折れ線グラフ、構成割合の変化を示すなら円グラフ、または特定の性質の塊を示すならマトリクス
でセグメンテーションしてみたり、といった具合です。

④実際に分析する
 分析する際には、全てのサブイシューとそれに付属するタスクを俯瞰して、まず問題の根幹をなすようなサブイシューから分析していきます。タスクにも問題の答えに対する影響度に違いがあるので、影響度の高い順にプライオリティをつけて取り組んでいきます。同じくらいの重要度のタスクなら、早く
終わるものから手をつけていきます。

⑤伝えるものをつくる
 同じ成果物でも伝え方によって受け手の理解度は大きく変わります。まず、意味ある課題を扱っていることに理解してもらうこと(お客さまであればこの課題を解決することでどんなイイコトがあるのかを理解してらうこと)、次いで最終的なメッセージ(課題に対する答え)に理解してもらうこと、そし
て最後にメッセージに納得して行動に移してもらうことを意識しながら、成果物のコンテンツの確認、プレゼンの推敲、そしてエレベータテストをクリアできる程度にシンプルさを追求する。

後半部分は他にも良い本があるとは思いますが、全体と通して良くまとまっており、本棚において時々チェックするにはいい一冊だなと感じました。


個人的なハイライトは、

"かくいう僕も、働きはじめたばかりの20代のころはフラフラになるまでやらないと仕事をした気になれず、ずいぶん時間をムダにした。体力に余裕があるときはそうした働き方も気持ちがよい面もあるが、結局、それは自己満足に過ぎず、自分の体力の限界を学ぶ作業にしかならない。成長は意味あるアウトプットをきっちり出すことからしか得られない"(36ページ)

という部分です。自戒ですね。

言うはやすし行うは難しですが、決して量から質への転化を期待して根性に逃げるのではなくて、頭を使ってスマートに仕事をしていきたいですね。

以上、気がつけば約8か月ぶり、2011年初のエントリーでした。
遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。
お久しぶりです。enoです。
長らくブログの更新を怠ってもうしわけありませんでした!
体調がすぐれず、拒絶反応でアトピーの様な症状が出て、痒みで集中できずなかなか書けなかったのですが、ようやく回復してきました。
個人的には拒絶反応も山場を越えた様な感じがしており、ようやく父親の細胞も私の細胞を攻撃する必要はないと認識しはじめたのか、なんとなくですが、復帰の日が近いような気がしております(あくまでも個人的な感覚なので、医者に言わせればまだまだなのかもしれませんが。次の受診は6月30日です)。

今日で移植から245日目。
体調の悪い時期を思うと、やはり健康な状態で読書なり勉強なりできる時間がいかに大事なものか改めて実感します。本当にこの経験からは多くのものを学んでいます。まぁいい加減復帰したいですが。

なんてそんな事を言っても何にもならないので、気を引き締めて今この時間を大切にして、更に自己研鑚に励みます(ワールドカップに夢中で生活リズムが崩れ気味ですが…。サッカーを見てモチベーション管理しているという言い訳をさせてくださいね。)!!

さて、更新は途絶えていたのですが、読書・勉学は継続しております。
「人格は繰り返す行動の総計である。それゆえに優秀さは単発的な行動にあらず、習慣である」という偉い人の言葉に習って、毎日、勉強とワークアウトを欠かさない様にしています。良い習慣を身につければ、サボり癖もなくなって少しはマシな人格になれると信じてやっています。

武道とかでよく聞く「心・技・体」という言葉が好きでよく物事を考えるときのフレームワークとして用いることがあるのですが、読書も基本的に、

1.心―精神の涵養になる本
2.技―ビジネスにおいて要求される知識・スキルを身につけるための本
3.体―あらゆる行動の資本となる身体の理解のための本

と本を3つのタイプに分け、各タイプの本をバランス良く読むようにしています。
そこで今回は、タイプ別に一冊ずつピックアップして紹介しようと思います。


1.心―精神の涵養になる本

ティナ・シーリグ『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』


「いま、手元に5ドルあります。2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」
スタンフォード大学で筆者が実際に学生に出した課題だそうです。彼女はアントレプレナーシップについての講座を担当しており、その講義のエッセンスが凝集された一冊です。氏曰く、多くの月並みな考え方を覆し、自分自身を、そして世界を新鮮な目で見るレンズを提供することが本書の目的だそうです。本全体の通してのメッセージは、「自分自身に許可を与える」ということだと思います。そのメッセージをいくつかのトピックに分けて論じており、概要は以下の通りです。21世紀の『イノベーションと起業家精神』と呼べる様な本だと思いました。

みんなの悩みをチャンスに変えろ
問題は避けるべきものであり、不満のタネになるものだと教えられるが、問題は数をこなすほど自信をもって解決できるようになる。そうすると、問題は問題ではなくチャンスだと気づくようになる。自分には何ができるのか?それを決めるのは心構え。日常の些細な問題を、どうすれば解決できるか考えることで問題解決力は誰でも養うことができる。

ルールは破られるためにある
一言でいえば「許可を求めるな、許しを乞え」。ルールは大多数の人にとってはうまくやっていくためのヒントを与えるものなので、従うものであるが、そうでない人もいる。脇道に入ることでルールを迂回し、通常のハードルを飛び越え、目標に到達できる独創的な方法もある。ルールを疑ってみる価値はある。ルール上は不可能に思われる問題もルールを迂回すれば解決できることもある。

機が熟すことなどない
宝くじは買わないと当たらない。誰も成功するためのツールを授けてはくれない。チャンスは常に存在しており、見つけられるのを待っている。待つのではなく、チャンスは掴みにいくもの。がむしゃらに働かねばならないし、エネルギーを使う。意欲も必要。でもこれこそが、リーダーをリーダーたらしめている、アントレプレナーをアントレプレナーたらしめている要素である。

早く、何度も失敗せよ
失敗というレンズを通して自分の経験を視ることによって、自分がおかしてきた過ちを受け入れられるようになる。挫折すれば学習する。失敗はまた、その人がチャレンジした証でもある。成功者の多くは、失敗の経験が少ない人について、十分なリスクをとってこなかったのだと考える。

無用なキャリア・アドバイス
成功の秘訣は、みずからの情熱につき従うこと。ただ、情熱は出発点に過ぎない。自らの情熱と、自身のスキル・能力と、市場(需要)が重なるところ。それが自分にとってのスイート・スポットであり、そこにおいては、仕事によって生活を豊かなものにすることができる。

幸運は自分で呼び込むもの
成功確率がとても低く、競争がどれほど激しくても、体と頭を十分に鍛え、準備すれば可能性を最大化できる。努力以外にも成功確率を最大化する要素はある。機会を歓迎する、チャンスが舞いこんだら最大限に生かす、身の回りの出来事に目をこらす、できるだけ多くの人と付き合う、その付き合いを良い方向で活かす、など。

自己流から抜け出そう
ほんの少しの心がけで、自分で造ってしまう障害や落とし穴は、簡単に避けられる。方法としては、自分を助けてくれる人に常に感謝の気持ちを表すこと。他人の強みを活かし、得意なことができるようにすること。賢明ではなく、正しく、胸を張れることをやる、など。

及第点ではなく最高を目指せ
我々は「最低限の条件」を満たすように促されている。つまり要求されたことに応えるために最小限の努力を払うよう暗に明に促されている。自分の行動とその結果の責任は自分にあることを自覚すべき。ベストを尽くすチャンスは1度しかない。


モチベーションが上がる内容になっています。ワーカホリックな生活で心身が疲弊したとき、これを読んだら元気になれるんじゃないでしょうか?個人的に、アントレプレナーシップの涵養のため、長く傍らに置いておきたい本の一冊です。



2.技―ビジネスにおいて要求される知識・スキルを身につけるための本

小森 裕介『プロになるためのWeb技術入門」 ――なぜ、あなたはWebシステムを開発できないのか』


このタイプの本に関しては更に、

(1)ITに関する知識を得るための本
(2)会計に関する知識を得るための本

の2タイプに分けてバランスをとるようにしており、(2)に関してもこんな本をはじめとして幾つか読んでいますが、今回は(1)の本を紹介したいと思います。
Webに関しては昨年から全体を俯瞰してから技術の詳細を理解していこうと考えていたので、Webプロジェクトに関する本や、制作ワークフローに関する本や、情報アーキテクチャに関する本などを読んできましたが、今回は具体的な技術についての理解を深めたいと考えて上の本をピックアップしました。

Webアプリケーションの構成や、開発に用いられている技術を俯瞰するのに役立ちました。Webクライアント・Webサーバ・DBサーバのそれぞれにどのようなハードやソフト、技術があるのか、またそれぞれにどのような特徴があり、メリット・デメリットがあるのかを学習できます。
今はデザイン・設計・コーディングのそれぞれのタスクについて、具体的なコミュニケーションが取れるWebプロデューサーを理想として、開発言語にも「広く浅く」チャレンジしていきたいと思っています。そうすれば自分の得意な分野も見えてくると思いますし、時間があるのだからいろいろチャレンジです。(知れば知るほどエンジニアの偉大さを思い知らされます。論理的思考を鍛えるのにプログラミングって最適な手段かもしれませんね。)
デザインについてもこんな本とかあんな本にも目を通しましたが、デザインに対する見方が変わりました。デザインもロジックなのだ、と目から鱗です。
今後も全体像は見失わずに、継続していろいろなことにバランスよく勉強していこうと思います。そして自身の得意なものを見つけようと思います。深堀りしていくのはその後のOJTで、ということで。



3.体―あらゆる行動の資本となる身体の理解のための本

エリカ アンギャル『世界一の美女になるダイエットバイブル』

いや、別にミス・ユニバースを目指しているわけではないです。ミスターですし。別に私はダイエットしたいわけではありません。太っていたのは薬の副作用のせいだったので、薬の量が減ってくるとともに体重も戻ってきています(入院時は70kgありましたが今は63kgくらいです)。

では何故この本をピックアップしたかというと、自分の病気がきっかけです。
造血幹細胞移植GVHDが強くて、それを抑えるためにプレドニンというステロイド系の錠剤を大量に処方した副作用で膵臓がダメージを受けており、糖尿病の症状が出ているのです。具体的に言えば、インシュリンを分泌する役割をもつ膵臓が薬によってダメージを受け、インシュリンが分泌がうまくいかず、血液中のグルコースがうまく細胞に取り込まれないために血糖値が上昇するというメカニズムらしいです。ただインスリンが全く分泌されないわけではなく、分泌のタイミングが遅れて、少量は分泌されているそうなのです。なので今はインスリン注射をしているのですが、TVで偶然著者の食のメソッドが紹介されているのをみたとき、「血糖値のコントロール」が良い身体をつくるポイントだと言っていたので興味を持ち、読んでみることにしました。この本から学んだことは、次のことです。

食事量を減らすのではなく、いい食べ物を知って賢く食べる
一日に必要なカロリー分だけ摂ったなら、何を食べても太らないわけではなく、カロリーが同じでも、それぞれの食品によって脂肪へのなりやすさは全く違うのです。脂肪へのなりやすさ=体内でブドウ糖に分解されるスピードであり、それはGI値という指標で知ることができます。
GI値の高い食品を摂ると、血糖値が急上昇します。そうすると通常はインシュリンが大量に分泌されます。過剰なインスリンは消費しきれずに残った糖を取り込んで、脂肪としてストックするはたらきをします。そうすると血糖値は急に下がり、またすぐ何か食べたくなる・・・のスパイラルに陥るのです。GI値の低い食生活をすれば血糖値が安定し、脂肪燃焼率を上げ、脂肪の蓄積される割合をダウンさせることができます。私の場合はインスリンが少量・ゆっくりとしか分泌されなくなっているので、GI値の低い食品を摂るようにすると、膵臓への負担が少なく、血糖値も安定するのです。

食生活におけるポイントは

(1)GI値の低めのものをチョイスする
(2)炭水化物:タンパク質:野菜=1:2:3の食事を意識
(3)一日の食事量の80%を、朝昼で摂るようにする

だそうです。糖尿病の症状が出てきたときは「白血病になった挙句、退院できたと思ったら糖尿病で食事も好きなように摂れないのかちくしょう」とかストレスを感じましたが、そんなことを言っても何にもならないので、大人しくこの本のメソッドを参考に、復帰した時に自炊できるよう料理にチャレンジして早4ヶ月くらい経ちました。
結果、血糖値も安定していますし、体重63kg、体脂肪率9%となかなか絞れた身体になってきました!
成果が出始めるとその生活も楽しくなってきて、間食も控えるようになり、ワークアウトにも精力的になります。
病気になる前の喫煙や不規則な食生活を思えば、病気は生活改善の良い機会になったような気がします。

やっぱり、「病は福音なり」ですね。


以上、3冊を紹介しましたが、いろいろなジャンルの本を読むのは本当に刺激になります。食事と一緒で偏食ならぬ偏読は視野狭窄を招いて発想力を損なう様な気がします。
確かシュンペーターさんもイノベーションは「既存のモノの新しい組み合わせ」だと言っていたような気がします。そうだとすれば組合せる材料というか引き出しを幅広い分野で、たくさん持っていたほうが発想力も豊かになるというのは説得力があるような気がします。
それに一見関連のなさそうな本同士が、頭の中で繋がったとき、世界観が広がったような気がして快感を感じますしね。そんな贅沢な時間を今は頂いてると思って、養生しながらアタマもカラダも鍛えていくことにします。


ところで、みなさんお元気でしょうか?石井さん、コメントありがとうございました。励みになっています!


ずいぶんと長らく出社せず申し訳ないです。実のところ、前回出社した時も主治医には内緒だったのですが、それがバレて大目玉を喰らいました(「死ぬつもりか!」って怒鳴られたんですよ…)。やっぱり免疫抑制剤を服用している間は、自分では元気なので大丈夫だと思っていましたが、危険な状態だそうで。私は幸い再入院せずに済んでいますが、肺炎などで再入院してくる患者さんは本当に多いそうです。もうちょっとの辛抱だと思うので、次に出社するときは元気な姿でお目にかかりたいと思います(髪もようやく生えそろってきました。犬みたいなフワフワな髪質で、凄い天然パーマになってしまいましたが!)。

良いことも悪いこともいろいろありますが、経験値を積んで人生豊かになっていると思えば、全部良いことだと思います。病気なっても、彼女にフラれても、エウリピデスさんの言葉を借りれば、「たとえ私と私の2人の息子が神々に見棄てられたとしても、これにもまた道理があるのだ」ということですかね(まぁ治ったら会いたいと思ってますけど…男は未練がましいもんなんで!)。

もう嫌だこんな生活!と思っては安岡正篤さんに咎められて読書やワークアウトに励み、体調を崩してイライラしてはフランクルさんに諭され、発奮して勉強する。治ったらあれしよう、これしようとか夢想してはマルクス・アウレリウスさんの叱咤激励で目を覚まして今やるべきことに集中する。1歩下がって2歩進む、そんな調子で少しずつですが、成長できていると思います。

そんなわけで、今日もまた、病を乗り越えて活躍するあの人が提供する、同じく病を克服したこの人が創った最新ガジェットを明日手にするのを楽しみにしつつも、今やるべきことに専念です。

それではまた!来週かどうかは体調次第ということで!
こんにちは.榎本慧太です.

4月も終わろうとしているのに寒暖の差が激しく,体調管理が大変ですね.みなさんお元気でしょうか?

今日で移植から183日ですが,幸い私は元気に過ごせています.
退院時のことを考えると体調も安定しはじめ,通院の間隔も当初は2週間毎であったのが4週間になりました.
これもみなさんのおかげです.引き続き規則正しい生活を続け,復帰を見据えて療養していきます!!

さて,先週よりいくつもの本に目を通しましたが,残念ながら最近ブログに書くほど感銘を受けるものに出合うことがなかったのでブログを書こうかどうか考えていたところ,WIREDの記事に興味深いものをみつけました.

Atoms are the new bits―the new industrial revolution (By Chris Anderson)

『ロングテール』,『フリー』の著者Chris Andersonの記事です.
読後,リハビリのワークアウト中にあれこれ考えたことを少し書きたいと思います.

紙媒体はこれのようです(残念ながら現在はunavailableでした).
『Wired [US] February 2010』

¥479
※ちなみに翻訳記事が,今月号の『GQ JAPAN』に掲載されていました.
『GQ JAPAN NO.84』

¥580

1.記事の要旨

この記事の要旨を簡潔に表現するならば,

「個人単位でモノの生産手段に低コストでアクセスすることが可能になっていること,また世界のサプライチェーンがスケールフリーになりつつあることによって,全てのガレージがマイクロ工場に,全ての人がマイクロアントレプレナーになる可能性がある.アイデアを実現化してビジネスにすることが,ビット(デジタル情報)だけでなくアトム(モノ)でも容易になってきている.『こんな製品・サービスがあれば良いのに』と思ったならば,すこしの勉強でそれを自分で創り出せる時代がやってきた」

といったところでしょうか.

本文ではクラウドソーシングで作られたクルマ「ラリーファイター」を作るローカル・モーターズ社の事例や,レゴ版の武器を作るブリックアームズ社など,多くの事例が取り上げられ,現在は製品・サービス開発のインフラコストが劇的に小さくなり,製品・サービスのアイデアを現実化するハードルはますます低くなってきていることを説明しています.

今はWebサービスを開発しようと思ったら,PaaSとしてGoogle App Engineなど,開発環境そのものを無料で利用できます.また開発したWebサービスの需要が増大してアクセスが急増した場合,少し前ならサーバーの設備投資がネックとなりやむなくアクセス制限をかけたのが,クラウド化の盛んな今ではAmazon EC2で必要な時間に必要な容量だけサーバを利用できます.

本記事ではこのようなビット(デジタル情報)の世界での潮流が,製品(モノ)の開発・製造においても起きていると説明しています.高価なCADがなくてもGoogle SketchUpなどのフリーソフトで3Dモデルを作成し,高度な製造設備を安価に借りてDIYするか,製造を受注してくれる業者を世界中の製造業者から探してオーダすることで,企業よりも格段に短いスパンでモックアップを手にすることが可能だと述べています.

数年前まではイニシャルコストがネックとなっていた製造業における起業のハードルも,今ではどんどん下がっているのだから,欲しいものは自分で作ってしまい,需要があるのであればビジネスにしよう,というのが記事の提案です.

以下のような夢を現実化する5つのステップというのも紹介していました,

(1)発案

 アイデアがひらめいたら,自分のオリジナルなものか特許庁のウェブサイトで確認する.
(2)デザイン
 Google SketchUpなどの無料ツールで3Dモデルをつくる,もしくは既存の誰かのデザインに自分のアイデアでひねりを加える.
(3)試作
 安価な3Dプリンタなどでプロトタイプをつくってチェックする.
(4)製造
 少量つくるならガレージでもよし,大量生産ならアウトソースする.アリババ・ドットコムのようなサイトは中国など新興国の良いパートナーを探すのに役立つ.
(5)販売
 オンラインストアを通じて顧客に直接販売するもよし,ヤフーや支付宝(アリペイ)のようなECサービスを利用するもよし.

これが定着すれば,後世には「DIY産業革命」と言われようになるだろうと結論づけて記事は終了しています.


2.生産消費者,C2B

この記事ですが,考えてみればそれほど目新しい論考ではないように感じます.私は「DIY産業革命」というワードをみて,『第3の波』の著者アルビン・トフラーが「生産消費者」と呼んだ概念を思い起こしました.

『富の未来』 (A. トフラー)

¥1,995

生産消費者の概念自体は『第3の波』で初めて用いられましたが,『富の未来』の方がより分かりやすく,紙幅を割いて説明されているので参考にするならこちらの方が良いと思います.
トフラーは販売や交換のためではなく,自分で使うためか満足を得るために財やサービスを作り出す人を「生産消費者」と呼びました.但し生産消費は個人の活動とは限らず,仲間と共有するときもあります.またその「仲間」の意味は情報をはじめとした技術の発展によって拡大したと述べるとともに,誰でも生産消費活動に時間を使っていると言っています.
こうして私が足りないアタマを使って思案したことをブログに書いているのは,生産消費活動の一例でしょう.
これは表面的には貨幣経済に価値をもたらさない活動のように思えますが,実際には影響を与える可能性があります.私が張ったリンクをたどってアマゾンで本を買った人がいるならば,私の生産消費は貨幣価値を生んだことになるからです.
トフラーは数字には表れないがものの,このように貨幣経済は生産消費に大きく依存していると主張しています.

DIYは生産消費活動の一例です.自分が欲しいもの自分でつくる.
日曜大工でも,庭の木を切り倒さずにホームセンターで資材を購入すればそれは貨幣経済にカウントされます.
生産消費のバリューチェーンを一部でもアウトソースすれば,それは新たな経済効果を生むのです.

個人々々では小さいかもしれませんが,誰もが生産消費活動をしているのであれば,その効果も集積すれば無視できないほど大きなものになるでしょう.


また記事では,世界最大のB2Bサイトであるアリババ・ドットコムについても紹介されています.
アリババ・グループの会長ジャック・マー(馬雲)氏は,個人がサプライチェーンの上流を担い,製造を業者に発注することを"C to B"と呼びます.クリス・アンダーソンは記事でこれは新しい取引方法であると言っていますが,マー氏はアリババの黎明期からすでにこの青写真を描いていたのではないでしょうか.

『馬雲のアリババと中国の知恵』(鄭作時)

¥2,310

「eコマースの場合、本来B2BとC2Cのあいだに明確な境界線はどこにもなく、個人間の大口取引と企業間の取引は必ずしも線引きできるわけではないというのが我々の考え方であった」(『馬雲のアリババと中国の知恵』P.288より引用)

という記述から,そのことが窺えます.C2B取引の増加は高い利益率が見込める特注品を受注できるため,アリババの会員企業にとっても望ましいことだといえます.
企業と個人の境界が曖昧になる,つまりC≒Bとなり,B2C,B2B,C2Cに加えてC2Bも本格化してきており,プラットフォームとしてのアリババの求心力も更に増してくることだろうと思います.

生産消費者,C2B.この2つのワードに共通する背景とは,個人が生産手段(資本)に容易にアクセスできるようになって,個人の企業の境界が曖昧になり,消費者の生産者化が進み,彼らの活動が経済において看過できないほど大きく,影響力をもつようになり,かつそれが認知されてきているということでしょう.

イノベーションを起こすような斬新なアイデアを持つ者にとって,今の時代ほどわくわくするものはないと思います.
やる気があれば,アイデアを容易に実現できるのですから.


3.プロデューサーの存在価値

しかしながら,アイデアを持っている人間が必ずしも経営のリテラシを持つわけではないことは自明でしょう.
また,ここまで起業のハードルが下がってもなお,優れたアイデアの具現化を躊躇する人がいるでしょう.
加えて,イノベーションを起こし得るような非常に優れたアイデアが個人の趣味の範囲でとどまることは,社会にとって損失(もったいないこと)であるともいえます.

起業のハードルが下がれば下がるほど,良いアイデアを社会に広めることでイノベーションをもたらすには,アイデアを見つけ出し,ビジネスとして機能させることのできる触媒のような役割の重要性が高まってくると考えられます.

『GQ JAPAN』の翻訳記事に『フリー』の監訳をつとめた小林弘人氏の解説が載っていましたが,そこには次のようなコメントがありました.

「…参入するには,斬新なアイディア,ネットのセオリー,そして資本政策を含めた経営ノウハウが必要です.この3つの要件をマルチタスクのCPUのように稼働できる人にしてみれば,今の時代は面白くてしょうがないはずです.」(『GQ JAPAN NO.84』P.101より引用)

斬新なアイデア・技術をうまくマネタイズし,その資金を用いてさらに多くの人に価値を提供する.
この仕組みを考え,機能させるのが「(ビジネス)プロデューサー」の役割でしょう.
トフラーや馬雲,アンダーソンのいう世界が実現すれば,ビジネスプロデューサーというものの重要性はさらに増すのだろうと思います.

と,ここまで考えたときに,以前読んだ本に書いてあったことを思い出しました.以下,少し引用します.
『経営思考の「補助線」』(御立 尚資)

¥1,680

「アイデア(あるいは事業のタネ)を考えつく創造性あふれる人々は,その創造性ゆえに,ビジネスとしての組み立てを考えるうえで,非現実的な解に固執しがちである.随分前の話だが,ボストン・コンサルティング・グループで,いわゆるクリエーターと呼ばれる人々がスペシャリストとして活躍し,大ヒットを生みだしている分野を調査したことがある.その際に明らかになったのは,大成功したビジネスの陰には,必ずといっていいほど,「極端に創造的な人」を生かすプロデューサーが存在したことだ」(『経営思考の「補助線」』P.264-265より引用)

「『アイデア』をビジネスレベルに持ち上げるために,執念を持って,クリエーター役を引っ張り,市場での成功に必要な資金調達をはじめ,外部との交渉・調整を引き受け,そして何より「最終的には,自分が結果に責任を取る」というリーダー,すなわちプロデューサー役が必要となる」
(同著P.265より引用)

まさにオープンアソシエイツのような集団の重要性を指摘しているのではないでしょうか.
アイデア実現化に際し,そのアイデアのブラッシュアップを手助けし,状況に応じてバリューチェーンをアレンジし最適化すると同時に,継続的に価値提供が可能なビジネスモデルを構築・機能させる.
そのような能力を持つ人間のニーズは,増えることはあってもなくなることはないはずです.


4.まとめ

ニッチなビジネスがどんどん生みだされるようになれば,新たに大規模な総合メーカーというものが生まれる余地はほとんどなくなるでしょう.その点で,莫大な金銭的富を得るチャンスはほとんどないかもしれませんが,
いわゆる「小金持ち」になる機会はあらゆる所にあると思います.新たなパナソニックやソニー,ホンダが生まれる可能性は更に小さくなるが,松下幸之助や井深大,本田宗一郎を思い起こさせるような人間がどんどん輩出される環境は整ってきているかと思います.

今回いろいろ考えて私が思ったのは,「好きなこと・興味を持ったことは徹底して深めるべき」ということです.
アイデアは物事を徹底的に考えてこそ浮かんでくるものだと思うからです.「好きこそものの上手なれ」ですね.

相変わらずまとまりのない文章になってしまいましたが,
イノベーションの触媒として,経済を縁の下から,根底から支えるのだ,という使命感をもっていきたいですね.

それではまた来週!!
こんにちは!enoです.
季節はすっかり春です.桜も満開ですね.

春眠暁を覚えず
処々 啼鳥を聞く
夜来風雨の声
花落つること知る多少ぞ

とは「春暁」の詩ですが,
なすべきことがあるのだから,呆けている
時間などありません.日々精進です!!


さて,今週の印象に残った一冊はこちら.
アントレプレナーの教科書/スティーブン・G・ブランク

¥2,940
Amazon.co.jp

シリコンバレーで数々のハイテクベンチャーのスタートアップの経営に関わった,
いわゆるシリアルアントレプレナーとして著名なSteven Blankの著書です.
タイトルの通り,アントレプレナーがビジョンを製品・サービスとして具現化し,
それをどう市場に投入してビジネスとして確立していくかを,「顧客開発」という
4つのステップからなるモデルで詳細に説明しています.

本書は,スタンフォード大学やUCLAの技術経営プログラムや経営大学院では
『キャズム』とともに課題図書となっているそうです.

内容の要旨は以下の通りです.

従来のスタートアップがとっている手法である「製品開発モデル」,つまり,

「コンセプト・シード」→「製品開発」→「アルファ・ベータテスト」→「販売開始・出荷開始」

というステップは,以下のような問題があると指摘しています.

①想定した顧客の存在が実証されていない
②リリース日に照準が合わされ,「誰に」販売するのか,
 「なぜ」顧客が製品を購入するのかを理解することが二の次になる
③顧客について学習と発見をする代わりに,実行を重要視してしまう
④営業,マーケティング及び事業開発に適切なマイルストーンの欠如
⑤製品開発手法で営業の状況を測定する
⑥製品開発手法でマーケティングの状況を測定する
⑦時期尚早な拡大
⑧死のスパイラル(時期尚早な拡大によって資金の消費速度が加速,
 その補填にさらなる資金調達をして傷口を拡げてしまう)
⑨すべてのスタートアップを同じとみなす(実際,プロダクトによって市場のタイプは異なる)
⑩非現実的な期待

「PDCAサイクルの回転が遅く,少ない」イメージですね.

あくまでこれは「製品」開発モデルであって,製品開発以外のこと,
つまり営業やマーケティングの測定手法とするのはモノサシで重さをはかるようなものであるということです.

本書のテーマは
製品開発と並行して「顧客開発」モデルを採ることで,事業の確実性を高めることにあります.
顧客開発とは

「顧客発見」→「顧客実証」→「顧客開拓」→「組織構築」

の4つのステップです.

顧客に何が問題か?どんな製品・サービスを求めているか?とゼロベースで聞くのではなく,
創業者がビジョンを形にしたものに対して,顧客がどのように感じるか,実際にお金を出して購入するかを
確かめること.そして仮説検証のフィードバックを製品開発に生かすのが初めの「顧客発見」「顧客実証」
の2ステップです.
そして実際に売上が立ってはじめてメインストリーム顧客をターゲットに営業・マーケティングをスタートし,
繰り返し可能なロードマップを実行していく組織を構築していくというのが「顧客開拓」「組織構築」のステップ
となっています.


本書のポイントを簡単に説明するなら,

「製品・サービスを新たに市場に投入しようとするならば,まずその製品・サービスが受け入れられる市場が存在することを確認するまでは事業の規模を拡大してはならない.よって,スタートアップはまず自分たちの提供している製品・サービスが受け入れられるのか,開発と並行して顧客に問わなければならない.答えがノーならばどうすればビジョンが受け入れられるか,再考し,何度でも改良を重ねて顧客に聞くべきである」

ということでしょうか.
要するにPDCAをいかに早く回して確実にニーズのある製品を開発するかということだと考えます.

自明のことのように思われますが,意外に「製品・サービスが手元にない,完成していないのにどうやって
営業活動をするのだ」と考えてしまうことはよくあることだと思います.実際に販売することが目的の営業
ではなく,顧客について学習・発見することが目的の営業活動というのはクリティカルな製品開発に非常に
重要なことでありながら,新規事業立ち上げにおいて誤った位置づけにされていることが多いかもしれません.


『ビジョナリー・カンパニー』がgood to greatなら,
『アントレプレナーの教科書』はpoor(Bad) to good, もしくはordinary to goodといったところでしょうか.

スタートアップがキャズムを超えて『アントレプレナーの教科書』ではなく『ビジョナリー・カンパニー』
を参照する機会が増えたとき,
それは事業が成功へと近づいていることのひとつの証明になるのではないかと思います.

新規事業プロデューサーとして,今後長く本棚に置いておくことになるであろうと感じた一冊でした.

今日で,移植から169日になります.

死を身近に感じるような経験をしたにもかかわらず,
今のように病状が比較的安定した状態になると時間を大切にしなくなることがあります,
惰眠を貪ることがあります(お恥ずかしい限りですが).

誰もがいつかは死にます.そして誰も自分がいつ死ぬのかはわからないのです.
病気になるかもしれないし,交通事故にあうかもしれない.
たとえ明日死のうとも,後悔しないように,日々を大切に生きなければならない.
「明日死ぬかの様に生き,永遠に生きるかのように学ぶ」というトマス・モアの言葉は,
非常に含蓄があります.

言葉では理解していても,やはり実際に経験してみると感じ方は全く違います.

何事にも,「一生懸命」に取り組むこと,当たり前ですが,本当に大切なことです!!
忘れないようにしないといけませんね.

私もこうやって書いたりして,事あるごとに思い出すようにしています.

それではまた来週.みなさんも頑張ってください!!

こんにちは。enoです。
あすから4月.入社して1年になります.
本当に時が経つのは早いですね!!


先日、ustreamでソフトバンクの新入社員に対する孫正義さんのスピーチがライブ中継されていました。
スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学での卒業式スピーチに勝るとも劣らない素晴らしさで、
惰眠を覚まさせるものがありました!

孫さんは坂本龍馬好きで、司馬遼太郎の『竜馬が行く』が愛読書だそうです。
私も司馬遼太郎の作品が好きで,『坂の上の雲』の秋山兄弟,『峠』の河合継之介の生き方などには
非常に感銘を受けます。
現在放送されているNHK大河ドラマ「龍馬伝」でも、坂本龍馬を中心に、吉田松陰や久坂玄瑞など、
幕末の志士たちの正に「真剣」な生き方が描かれていますね。

自分の命をどう使うのか.使命感を強くもち、その使命を全うすべく邁進する姿は、
我々を奮い立たせてくれます。

そんな幕末の志士達の多くが陽明学に少なからぬ影響を受けています.

禅と陽明学〈上〉 (人間学講話)/安岡 正篤

¥2,100
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禅と陽明学〈下〉 (人間学講話)/安岡 正篤

¥2,205
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内村鑑三が『代表的日本人』の一人に陽明学思想の持ち主であった西郷隆盛を選んだことからも,
陽明学は非常にインパクトのある思想であったことが窺えます.



禅の要旨
禅とは,仏教の教えから派生的にうまれた宗教です.
東洋思想、なかでも禅というものは現実に徹するという特徴を持っています.
東洋思想の特質は、西洋のそれのように現実と非現実(概念)、主観と客観をわけず、
それらは統一的なものであると考えるところにあり,そして主観というものを主観として終わらせないで,
主観を通じて客観にまで徹底させます.
その逆もまた然りで,客観を通じて深遠な主観にも到達するという考え方をします.

禅というのはもともと真剣な求道の生活であって,
いかにして自分というものを掴むか.いかにして自分というものを作り上げるか.
それは結局心であるから,いかにして自分の心を解明して、自分の生活を真理に従ったものにするか,
それがテーマです.
禅の要点は「仏,心,衆生,是三無差別」.
仏教の真理は人の心にあり,それは日々の生活から見出していくというものです.そうすることで不昧因果
(因果=真理を明らかにすること),物事の法則性を知ることが重要であると説いています.

陽明学の要旨
儒教のひとつである陽明学は,王陽明の思想を体系化したものです.
彼は若かりし頃に「五溺」といって文芸や,任侠,兵学,老荘思想,仏教の5つに興味の向くままに
次々に傾倒したため,陽明学はこれらの影響を受けています.
その特徴は,「到良知」という言葉に尽きます.
致良知とは,我々が主観を徹底していくと客観に達する、客観を徹底すれば大いなる主観に到達する。
真剣に学問求道をやれば、誰でも主観を通じて大いなる客観に到達する、
つまり主客が合一してくるということです.

この「致良知」から知ることと成すことの相互循環を説いた「知行合一」という考えが導き出されます.
※「良知」の「良」は良いという意味ではなく、自然に備わっているという意味です.
もともと我々はすべての因果を心得ており,自分というものを徹底的に見つめることで
それが浮かび上がってくるという考え方です.

「人間の在り方を徹底的に考える」という点で、禅と陽明学は根底では通じているのだと思います.



この本を読んでいるうちに,王陽明とAppleのスティーブ・ジョブズに共通点があることに気付きました.
まず,共に大病の経験があること.そして自分の主観を信じるということです.

王陽明は若くして肺を患い、不安定な健康状態で生涯の多くを過ごしました.
スティーブ・ジョブズも膵臓癌を患い、長期の療養を余儀なくされました。
経営者として大成するには、大病、戦争、投獄のいずれかを経験せねばらぬ、という諺がありますが、
その要諦は死生観にあると思います。
限りある自分の命をどう使うか.死を身近に感じたことで,そのことを真剣に考える機会を得たことが
大きな糧となったのだと思います.
これは,私が見習わねばならない部分であると感じます.

ジョブズはスタンフォード大の卒業式スピーチで、自分の直感を信じることの大切さを説いていました。
彼は大学で自分の興味の赴くままにコースを選んで熱中したといいます(大学を中退すると決めたあと,彼
は単位を気にすることなく自分のとりたいコースを選んだそうです).
それが何の役に立つのかは関係なく,自分の直感を信じて取り組んだものは,
いずれすべて繋がって一つの成果となると語っています.

王陽明も自分の興味の向くまま,文芸や兵学,任侠,老荘,仏教に励みました.
それが最終的には陽明学という思想体系として,後世に多大な影響を与える成果として残っています.
そして,その思想の要諦は主観の徹底にあると説いています.これは,言いかえれば,
自分の直感を徹底的に信じ,自分というものを理解していくということでしょう.

生きた時代も場所も全く異なる2人の言葉の根底に似たものを感じるのは興味深いです.
これも真理(物事の因果の法則)は同じであることを示唆するものなのかもしれません.

西洋の思想では主観と客観をわけて考えるという特質が,
東洋の思想ではそれは一体不可分であると考えるという特質がある.
同じ世界に存在する人間でも、その世界の見方(見え方)はさまざまです.


自分は近眼かもしれないのに、遠視用眼鏡をかけているのかもしれない。
自分乱視かもしれないのに、近視用の眼鏡をかけているのかもしれない。
もっと言うならば、裸眼で十分なのに、コンタクトレンズをつけているのかもしれない。

自分のかけている眼鏡のレンズは何なのか,
自分の価値観・人生観の根底にあるものは何であるのか.
それを明らかにするうえでも、さまざまな種類のレンズを理解しておくことは有用であるように思いました.



まとまりの無い文章になってしまいましたが…
今日で移植から161日目.
自分の登るべき山が,はっきり見えてきたような気がします.
ぬかりなく,入念に荷造りをしていこうと思います!


こんにちは.enoです!

今日で移植から154日目.5カ月を過ぎました.

孫正義さんも,アンディ・グローブも,スティーブ・ジョブズも闘病経験を糧に飛躍をしていますから,
私も負けずにこの機会を有意義に使わねば,と日々思います.

病状は変わらず,といったところです.引き続き衛生面に留意して療養していきます.


さて,今回読んだ本はこちらです.
影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか/ロバート・B・チャルディーニ

¥2,940
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本書のテーマは,
「どのような心理学の原理が,要請を受け入れる傾向に影響を与えるのかを明らかにする」
ことです.

著者によると,
参与観察という社会実験心理学的アプローチで,ビジネス実務で活用されている承諾を得るためのテクニックを調査した結果,それらのテクニックは大きく6つの原理に基づいたものに分類できるといいます.

6つの原理とは,

「返報性」
「コミットメントと一貫性」
「社会的証明」
「好意」
「権威」
「希少性」

のことです.それぞれについてみていくと,

1.返報性
俗に言う「ギブ・アンド・テイク」です.
他者から何かを与えられたら自分も何かを与えるように要求するルールは,人間文化の規範の中で最も広範囲にみられるそうです.
このルールは,人が何かを失う恐れを感じることなしに相互に助け合う人間関係を「最初に」始めることができるようにするために確立されたルールであると考えられています.
献金を受けた相手に対して政治家が便宜を図る,というのはこの返報性の原理が働く一例でしょう.

2.コミットメントと一貫性
ほとんどの人には,自分の言葉,信念,態度,行為を一貫したものにしたい,あるいは,他の人にそう見られたいという欲求があるといいます.
よってはじめに自分のスタンスを表明した場合,それを肯定するような言動をとりたがるのです.例えば,交渉の場で最終的にとってほしい行動を引き出すために,それと一貫するような小さなイエスを段階を踏んでコミットさせていくのはこの原理を活用した例だと思います.

3.社会的証明
人がある状況で何を信じるべきか,どのように振る舞うべきかを決めるために使う重要な手段のひとつに,他の人々がそこで何を信じているか,どのように行動しているかを見ることがあります.
例えば,私がアマゾンで書籍を購入する際,レビューの数と評価を買うか否かの大きな判断基準するのは,社会的証明の原理が作用していると考えられます.

4.好意
人は自分が好意を感じている人に対してイエスと言う傾向がある.
好意に影響する要素には「身体的魅力」,「類似性」,「称賛」があります.同じ提案でも魅力的な容姿の人がしたほうが承諾され易く,また自分と容姿や考え方が類似した人の意見は受け入れ易く,自分を高く評価してくれる人の言葉を信じ易いということです.

5.権威
我々の社会には,権威からの要求に服従させるような強い圧力が存在します.
本当の権威者は優れた知識・力を持っているのが普通なので,そうした人の命令に従うのは適応的な行為である場合が多いことから,この原理は形成されたと考えられています.
「あの有名な~が絶賛していたから間違いない」と思ってよく考えずに何かを買ってしまうのはこの原理が働いている例でしょう.

6.希少性
人は機会を失いかけると,その機会をより価値あるものとみなす傾向がある.
この理由は,第一に手に入りにくいものは普通価値のあるものであることが多いから,そして,人は機会を失うことで自由の幅が狭くなることを避ける傾向があるからだそうです(心理的リアクタンス理論).
商品に「期間限定」「数量限定」のラベルを貼るのはこの原理を利用した販売方法でしょう.


人がこれら6つの原理に沿って,詳細に検討をせず簡便に意思決定する理由は,「効率性」と「経済性」にあります.

例えば私が新しいテレビを買いたいと思って,購入するテレビを選定する際,

まず予算枠を決定し,
どんなテレビが欲しいのか,テレビに求める機能を「要件定義」し,
定義した機能に優先順位を付けて重み付けし,
その要件を満たすテレビを全てリストアップ・機能比較し,
予算と機能レベルを天秤にかけて…

と細部まで検討して意思決定するのは(望ましいとは思いますが)骨が折れる事ですし,何より時間がかかります.我々の生活においては,全ての意思決定を慎重になすことは時間的・体力的に難しく,よって上記の様な原理に基づいて多くの意思決定が簡便になされるわけです.

インターネットの普及で情報が膨大になり,また環境変化のペースも早くなった現代においては,ますますこの簡便な意思決定がなされる傾向は強くなっていくでしょう.
(因みに,IDCの調査「The Diverse and Exploding Digital Universe」によれば,人間が生み出すデジタルデータの量は2011年には1.8ZB(Z=10^21)になると予測されています.)


このルールを理解しておくことはビジネスにおいても有益だとは思いますが,
優れた人間力という土台を築いた上で,身につけるべきものだと思います.
人間力を涵養せずに実務的なスキルを学んだところで,それは砂上の楼閣でしょう.
一時的に望ましい結果を生んだとしても,最終的な結果は望ましいものにはなり得ないと思います.

日常の小さな意思決定はともかく,重要な意思決定をするときにこの原理に流されて後悔しないためにも,
この6つのルールを理解しておくことは有益なのではないでしょうか.

それではまた来週!

こんにちは.enoでございます!!

「光陰矢のごとし(Time flies Like a arrow)」とは言いますが,本当に時が経つのは早いものですね.

年初・月初に掲げた目標の進捗状況を確認しながら,
もっと目的意識をしっかり持ち,時間という資源を有効に使わなければいけないな,と改めて感じます.

今日で移植147日目.ドクター曰く,そろそろ拒絶反応が落ち着きはじめても良い時期だそうです,
来るべき時に備えて知力・体力を継続して培っていきたいと思います.


さて,今回読んだ本はこちらです.

ツイッターノミクス TwitterNomics/タラ・ハント 津田 大介(解説)

¥1,650
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本書の原題は"THE WHUFFIE FACTOR (Using the power of social networks to build your business)"

つまり本書のテーマは
「ソーシャルネットワークの力をどうやってビジネスに生かすか」
といったところです.

邦題が『ツイッターノミクス』なので,Twitterに関する本だと思われそうですが,
メインテーマは上記の通りです.邦題は,昨今のTwitterブームを意識して付けられた感じがします.

ソーシャルメディアの発展に伴って我々の住む世界のルールがどう変わったのかを事例を挙げて紹介するとともに,その新しいルールの中で事業をうまくやっていくための原則について書かれています.

先日書評を書いた『グランズウェル』とテーマが類似しているので,内容も類似している部分があります(デルの事例,ウォルマートの事例など).

また本書で紹介されている「ウッフィー(WHUFFIE)」という概念は,以前読んだ『目に見えない資本主義』という本の内容に通ずる部分があると感じました.

ですので,今回の書評では,WHUFFIEについて『ツイッターノミクス』について『目に見えない資本主義』,『グランズウェル』にも触れながら考察してみたいと思います.


『ツイッターノミクス』の要旨
著者は本書において,マーケット・キャピタルとソーシャル・キャピタルが急速に収斂しつつある,つまりお金がウッフィーのたくさんあるところで生まれるようになっている現代の経済において,ウッフィー(Whuffie)が個人だけでなく企業にとっても重要なファクターになっていると指摘しています.このウッフィーとは「ソーシャル・ネットワークで結ばれた人同士の間に時間をかけて育まれる信頼・尊敬・評価」であり,ソーシャル・キャピタルのくだけた言い方です.そして著者はこのウッフィー・リッチになるための五原則として,

・大声でわめくのをやめ,まずは聞くことから始める
・コミュニティの一員となり,顧客と信頼関係を築く
・わくわくするような体験を創造し,注目を集める
・無秩序も良しとし,計画・管理にこだわらない
・高い目標をみつける

を挙げ,事例を挙げながら具体的な施策について説明しています.

『目に見えない資本主義』の要旨

目に見えない資本主義/田坂 広志(たさか ひろし)

¥1,680
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『目に見えない資本主義』では,現代の資本主義は「貨幣経済」と「ギフト経済」から成っているが,インターネット革命によって「ギフト経済」という社会の片隅で,しかも目に見えない資本が流通していた経済がある程度目に見えるようになり,拡大してきたことから相対的に価値が高まったと主張されています.そして「目に見えない資本」とは知識であり,関係であり,信頼であり,評判であり,人間性(企業理念・文化)であり,それらはつきつめて考えると「共感」が根底にあることから,目に見えない資本とはすなわち「共感資本」であるとしています.この「共感資本」が今後の経済における重要なファクターであり,これをいかにして蓄積するかという考え方が本書ではいくつか挙げられています.

ウッフィーと共感資本
上で述べたことからわかるように,言葉は違えど「ウッフィー」と「共感資本」はほぼ同じ概念であり,ソーシャル・ネットワークが発展し,非貨幣経済が相対的に重要性を増した現代の経済においては,このウッフィー,共感資本の蓄積が個人としても,ビジネスとしても看過できない重要なファクターとなっています.これは以前書評を書いた『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』でも指摘されていることです.

どうやって蓄積していくか?
『ツイッターノミクス』では,ウッフィー・リッチになるための原則として以下の5つが挙げられています.

①大声でわめくのをやめ,まずは聞くことから始める
マーケティングのゴールの一つに,顧客のロイヤルティを高め,顧客当たりの生涯価値(LTV)を最大化することがあります(ワン・トゥ・ワンマーケティング).それには顧客ひとりひとりの声を聞き要望に応えるのが理想ですが,以前はそれが難しかったために,顧客をセグメントに分類しマーケティングを行っていたわけです.しかしソーシャルテクノロジーの発展によってワン・トゥ・ワンマーケティングを追求できるようになった現在においては,マス・マーケティングの効果は限定的になってきています.ウッフィーを増やすためには,顧客が発するメッセージを探し,汲み取って,それに応えることが可能である以上,積極的になさねばならないということです.

※ワン・トゥ・ワンマーケティングの詳細に関してはこちらを参照ください.
ONE to ONEマーケティング―顧客リレーションシップ戦略/ドン ペパーズ

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②コミュニティの一員となり,顧客と信頼関係を築く
 CGMに代表されるように,消費者と供給者の区別が無くなりつつある現状において,企業もコミュニティの一員となって顧客と同じ目線に立って意見を聞き,応える必要があるということ.

③わくわくするような体験を創造し,注目を集める
 クックパッドのレシピコンテストや,レゴのアンバサダー認定などのように,顧客が注目するイベントによってコミュニティを活性化させる.プロダクトに関してもMacの様に持っているだけでわくわくするよう(所有欲を満たすよう),デイティールまでこだわってデザインするなど.それがウッフィーの蓄積につながる.

④無秩序も良しとし,計画・管理にこだわらない
 企業にとって都合の良くないコメントを削除したりすることは,逆効果になる(ストライサンド効果).企業・個人は恣意的にウェブでの個人の行動をコントロールすることなど不可能であるということを理解する必要がある.

⑤高い目標をみつける
 社会貢献を常に意識する.それを追求していく姿は,ウッフィーを増やしてくれる.

5原則の概要については以上の通りです.ビジネスにおいて,ソーシャル・テクノロジーを用いてウッフィーを増やす具体的なノウハウについては,『グランズウェル』が参考になると思います.

まとめ
『ツイッターノミクス』を読んで,特に新たな気づきはありませんでした(本書のテーマから少し外れるところで,「フレーバー・ホイール」というものはWebでの情報の組織化という観点でみれば面白いと思いましたが).

しかしながら,現代の経済の仕組みについて改めて考える良いきっかけとなった気がします..

要点を簡単に表現するとすれば,

Social capital first, Market capital follows.
Whuffie first, Money follows.
Client first, Money follows.

といったところでしょうか.
お金は幸せに生きるための手段であって,幸せそのものではないということ.
誰かを幸せにすることが,結果的に自分の幸せにつながるということ.

考えてみれば当然のようなことが,近時では注目されている,そんな感じがしました.



こんにちは.榎本でございます.

今回紹介する本はこちらです.


スッキリと「考える」技術/岩田 徹

¥1,890
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本書のテーマは,
「全業界のビジネスパーソンに共通する実践的・根本的な思考法を紹介することで,最適な問題解決法と仕事の進め方を身につける」

となっています.

その思考は大きく4つに分けられており,それぞれ,

1.スッキリ図解思考法
2.スッキリ段取り力
3.スッキリコミュニケーション力
4.スッキリ実行力

として紹介されています.これらの要旨は以下の通りです.


1.スッキリ図解思考法
【定義】「考え方のシナリオ」に沿って,書きながら「集中」と「発散」を進めていくことであり,今抱えている問題の解決策を考えるための思考法.

この思考は6つのステップからなり,それぞれ,

①「ゴールのイメージを明確化する」(発散)
②「ゴールと現状とのギャップをたくさん洗い出し書きとめる」(発散)
③「②で洗い出したことが本当に問題なのか評価する」(集中)
④「③で選ばれた問題に対して,whyを繰り返すことで根本原因をつきとめる」(集中)
⑤「④で突き止めた根本原因の解決策をブレストする」(発散)
⑥「⑤の解決策を,フレームワークなどで客観的(定量的)に評価し意思決定する」(集中)

と説明されています.

2.スッキリ段取り力
【定義】「事前に自分が納得いくまで準備」し,「しつこく確認及びコミュニケーションをとって確実に仕事を進め」,「成功・失敗にかかわらず結果を次に生かす」,スッキリとした仕事のやり方のこと.

・仕事はすぐに取りかからず,まずタスクブレイクダウンする
・最初に目的(ゴール)の確認を確実にする
・ゴール設定の背景,制約条件を整理して,自分に期待される役割・果たすべき役割を明確にする

など,基本的な仕事に対する取り組み方が紹介されています.

3.スッキリコミュニケーション力
【定義】期待にまず応え,そしてそれを超える仕事をプラスすることで信頼を得る,そして短く多くコミュニケーションをとり期待値を管理することで,相手の期待値を大きく上回る成果で相手を満足させる力のこと.

・ロジックは必要条件だが十分条件ではない,相手に聞く準備をしてもらうことを忘れない
・説得するのではなく,納得してもらうように話をする

などのポイントが紹介されています.

4.スッキリ実行力
【定義】PDCAサイクルを早く回し,小さくてもたくさん手を打ち,結果はシビアに見て結果を明確にすることで,ゴールまで常に最短距離で向かう力のこと.

スッキリ実行力のポイントは
・最高のシナリオ,最悪のシナリオをあらかじめイメージしておく
・想定外のシナリオが生起したときでも思考・行動停止に陥らないよう,実のある原則を自己に設定しておく
と紹介されています.


読後の感想としては,
必要以上に横文字を使わず有用な事がストーリーを交えて平易な文で書いており,内容が簡潔にまとまっており実践的であるので,傍らに置いておいて定期的に参考にしたいと感じました.なかなかの良書であると思います.



最近はいろいろあって気が滅入ることもありましたが,既に気持ちは切り替わってやっております!

「思考は現実化する」
「我は我が魂の指揮官」
「窮不困 憂意不衰 知禍福終始為不惑」

心の在り方次第で生活は大きく変わることを忘れず,精進します.

それではまた来週!


こんにちは.榎本慧太です.
体調のすぐれない時期もあり,更新の期間が空いてしまいました.

今回紹介する本はこちら.

峠 (上巻) (新潮文庫)/司馬 遼太郎

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峠 (中巻) (新潮文庫)/司馬 遼太郎

¥780
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峠 (下巻) (新潮文庫)/司馬 遼太郎

¥620
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長岡藩士で,幕末期に老中として北越戊辰戦争を戦った河井継之助を
主人公として描かれた,司馬遼太郎の小説です.

「物事の本質を常に考え,自分が如何に生きるべきかを考える」

陽明学の思想が色濃く反映された河井継之助という男の生き方は,
大いに参考になるかと思います.

陽明学の考えに,非常に興味を持ちました.



【近況の報告】

病状は良くも悪くもなく.
まだまだ拒絶反応があり,体中に発疹ができている状況が続く.

変化のない毎日.
病状も回復に向かっているというが,いつ復帰できるか目処はまだつかず.

今できることをやるしかない事は十分理解しているつもり.
しかしながら,
しばしば焦燥感で何も手につかなくなることがある.
悲しくなって投げ出したくなることがある.

彼女とも最近うまくいっていない.

退院してからの方が,精神的には苦しいと思う.



…このようなつまらぬ考えをとることもしばしばありますが,
今が正念場なのだと思います.

復帰すれば,これ以上にプレッシャーがかかる場面に数多く出くわすでしょう.
今はその時にそなえるための修行の時期だと,そう言い聞かせてやっていくしかない.

僕は今まさに「峠」を越えようとしているのだと,そう考えることにしています.

みなさんこんにちは!
enoです!

今日も本の紹介&近況報告をさせていただきます.

今回読んだ本はこちら.


ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか/エイドリアン・J・スライウォツキー

¥1,680
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入院当初に貸していただいた『デジタル・ビジネスデザイン戦略』を読んで,スライウォツキーの他の本を読みたいと思ったのが動機です.
この本は前書とは趣が異なり,利益の源泉となる23のテーマについて,ストーリー形式で書かれた本です.

何によって利益を得るか?
どうやって競合から利益の源泉を守るか?
自社の強みはどう利益に変えればよいか?
利益を継続して生み出すには?

などといった疑問に対して,本書にはビジネスモデルの観点,メンタリティの観点からみて有用な示唆が書かれています.

いくつか例をあげると,

・「製品ピラミッド利益モデル」
―グレードによって幾つかの価格帯を持つ製品ラインナップを構成し,(赤字覚悟の)低価格製品で他者の参入障壁を設定し,高価格製品で高い利益率を実現する.これにより,顧客のニーズと価格感受性にきめ細かく対応する.
(例)スウォッチの時計のラインナップ

・「マルチコンポーネント利益モデル」
―ひとつの製品で異なるビジネスを行い,異なる収益率を実現するモデル.製品ピラミッドは異なる価格感受性を持つ特定の顧客それぞれに対応するが,マルチコンポーネント利益モデルでは顧客は全てのコンポーネントで購買行動をとる.
(例)コカ・コーラ(自販機で販売したり,レストランで販売したりする)

・「インストール・ベース利益モデル」
―価格感受性の高い高価格製品は赤字覚悟で普及につとめ,価格感受性の低いコモディティで高い利益率を実現する.
(例)インクプリンターとインク,ひげそりと替え刃

などです.新規事業立ち上げでビジネスモデルを考える際,アイデア出しの参考になるのではないかと思いました.


"Post Script"


昨年,無菌室にて血液幹細胞移植前に撮った写真です.移植といってもこの父から提供してもらった血液を輸血するだけでした(未だ会うことができていない同期へ―僕はこんな顔をしています!).

open-memberのブログ


昨日受診してきましたが,経過は良好のようです.
体力を回復させるべく,リハビリテーションもはじめました(ウォーキング,筋トレetc.).

復帰を目指して,焦らず着実に,心身を鍛えていきます.

あ,

あとお薦めの本があれば教えてください.

それではまた来週!