名取事務所公演の『やってきたゴドー』を観た。

勿論、ベケットの『ゴドーを待ちながら』から生みだされた作品だ。

神かも救いかもしれない何かを待ち続けるが、やってこないのが原作。

この芝居は早々とそのゴドーがやってくる。

しかし、それを待っているはずの二人はそのことに気が付かない。

いや、気が付いているのだが、身の回りに降り掛かった目先のことに捕らわれ、それどころではない、という様子。

その状況に苛立つゴドーは最終的に自分が来ていることを分からせようと、一人の首を締める。

そんなものかもしれない。
待ち続ける何かは、身の回りにあるのに、気が付かない。

幸せはすぐそばにあるのに見落としているのかも。

失って初めてそれに気が付くのかもしれない。

僕はそれを感じられているだろうか。

少なくとも、幸せは感じているが、それを伝えることの重要さを感じる芝居だった。